知多半島観光圏協議会

金賞:知多半島観光圏協議会(愛知県半田市)

概要

知多半島は、古代の塩づくりに始まり、全国を席巻した中世常滑焼から現代まで続く窯業、近世に江戸市場を目指して隆盛を極めた酒・酢・みそ・たまりなどの 醸造業、晒の技術を誇った綿業からつながる紡績業、これらの物資を運んだ尾州廻船、近代に入り東海道線を引くための鉄道武豊線、現代に至る過程で火力発電所、 ガスなどのエネルギー産業、新日鉄や愛知製鋼などの重工業が臨海工業地帯に加わり、製造物出荷額で全国都道府県比較でも中間に位置するほどのものづくり半島となる。 同時にふぐや鱧、あさりやアナゴ、タコなど豊富な魚種の水揚げを持つ漁業、多品種を生産しながら、愛知の伝統野菜保存と栽培の拠点でもある農業が、新鮮な食の魅力を 展開し、観光客をひきつけてやまない。知多半島ではこのように、産業遺産や現在も稼働している産業資産が生活の中に当たり前のように混在している。こうした状況から、 知多半島の生活や生業、人々の生きる姿を観光資源として観光振興を行うことを方針として磨きをかけてきた。
2015年7月には、明治の麦酒工場跡地である半田市赤レンガ建物が修復を終えオープン。赤レンガ建物で醸造していた明治のカブトビールを市民団体「赤煉瓦倶楽部半田」が復刻し、 建物内で販売、観光客を楽しませている。また、11月には株式会社ミツカングループの旧「酢の里」が「ミツカンミュージアム」として リニューアルオープン。江戸時代後期に握り 寿司の爆発的普及に貢献した酒粕から醸造する「粕酢」の醸造工程が再現されるとともに、この地域の物流を支えた「弁財船(千石船)」が船大工によって建造され展示されている。 さらに、江戸時代の早ずし(現在の握り寿司)が、 江戸期から造り続けられてきたミツカンの粕酢を使った「尾州早ずし」として市内のレストランによって10年前に復刻され、内外の観光客に楽しまれている。
知多半島観光圏では、「働く知多半島」として、1次産業から3次産業まで、個人事業者から大企業まで幅広く繋がりながら、多くの人々が楽しむ場、活力の場、憩いの場として産業観光まちづくりを進めている。

評価

知多半島に多様に広がる産業観光のコンテンツを、知多ソフィア観光ネットワークが中心になり、地道な編集作業を続けてきたことで、産業観光の理想的モデルとなっている。 地域に根ざした産業資源を有効活用し、地域間・業種間の連携を図り、広域で産業観光を展開している点が評価された。特に、半田市における「はんだ醸すごはん」事業では、 市内20店舗の連携に取り組んでいる。これまでの各施設、事業体での取り組みは進んでおり、地域全体が連携し、地域としての発進力、企画力を高めると更に素晴らしい。

MIZKAN MUSEUM(半田市)

<MIZKAN MUSEUM(半田市)>

亀崎潮干祭(半田市)

<亀崎潮干祭(半田市)>

尾州早すし(半田市)

<尾州早すし(半田市)>

半田赤レンガ建物(半田市)

<半田赤レンガ建物(半田市)>