会津の産業の成り立ちは、近代の電源開発の発端となった猪苗代水系がもたらす豊富な水から、米を中心とする農産物、酒・味噌・醤油などの醸造業、漆器、会津木綿などものづくり産業が開花した。
会津若松市が産業観光の推進に取組んだ契機は、旅行スタイルの変化や会津の歴史に蓄積されたポテンシャルを活かすため、会津の伝統的なものづくり産業や全国有数の電力供給地域といった地域特性を観光的に活用することから始まる。地域の産業を支えた歴史的発電所などを対象とした、丹念なワークショップやモニターツアーを頻繁に開催するなど、地域を挙げた取り組みが続けられてきた。
会津若松市の観光客数は平成4年に3,816千人をピークに年々減少し、平成15年には2,697千人までに落ち込んでいたが、平成16年から産業観光に取り組みはじめた結果、徐々に回復し、平成19年には3,493千人までに回復した。平成21年度は3,447千人である。
・会津若松の伝統産業の近代化や近代産業発展の背景にある電力(電源施設等)に注目をして、これらが地域の伝統産業の近代化や現代産業の創出とどのように係ってきたのかという、産業を軸としたストーリーをもとに、地域資源を再編集した新たな産業観光モデルを構築してきた点が、地域モデルとして高く評価される。
・これらのストーリーをもとに、会津の強みである伝統産業や食の工房などを組み立てて、近世から近代までを辿りつつ、「伝統と現代」「食」から「手技」までを体験出来る豊富なプログラムを作成している。
・既存の観光地(鶴ヶ城、飯盛山、東山温泉等)とは別に、七日町など中心市街地の再生と観光まちづくりを推進し、地域全体の魅力づくりに成功した。
・喜多方等を含む会津広域はもとより、浜・中・会津の共通テーマによる地域連携の取り組みは高く評価できる。
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