表情豊かな「和紙面」、絢爛豪華な「神楽衣裳」、そして説得力抜群の「蛇胴」。島根県浜田市で生まれ、現在に至るまでこの地の産業として根を張る「神楽産業」を地域の宝とし、訪れる人を喜ばせたいという発想を原点に、産業観光の取組が始まった。
具体的な取組としては、面、衣裳、蛇胴それぞれの工房で見学を受け入れている他、障がいを持つ方が担い手となっている福祉法人では、「神楽ショップくわの木」において、温泉施設に隣接して見学可能な工房を開設し、即売にも対応して、産業の魅力発信に力を入れている。また、観光協会の専門サイトでは、工房を紹介する特集ページを充実させ、アクセスの簡略化を図っている。
さらに、平成20年に開館した石州和紙会館では、店頭販売はもちろんのこと、和紙漉き体験の他、製紙技術をブータン王国に伝えるなど、幅広い取組を行っている。そして、石見神楽を語る上で外せない「石州和紙」の堅牢さと歴史を、浜田市では内外にPRしている。
経年劣化により払い下げられた蛇胴は、その強靭さと貴重性を活かし、トートバッグや名刺への再利用が図られており、ふるさと寄付の返礼品に追加されるなど、新たな活用方法も見出されている。
神楽というとその演舞が注目されがちであるが、それを支える石州和紙などの伝統工芸にも焦点を当て、観光コンテンツを作り上げている点が評価された。神楽や伝統工芸等、対象となっている観光資源の高い魅力もあり、銀賞に選定された。
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