有松は、平成28年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されて、令和元年に、「日本遺産」に認定された。その有松地内で、愛知県の伝統産業である有松絞と三州鬼瓦のコラボレーション事業を実施し、東海道沿いの古い町並みから発信することで、伝統産業文化を通して人々の交流を深めたいと考え、プロジェクトを始動。また、観光交流により、相互の伝統産業および地域の活性化を図り、その有意義性を有松から世界に発信することも目指している。
具体的な企画内容は、有松の東海道沿いの古い町並みに「絞と瓦による灯のオブジェ」を設置し、普段はほとんど人通りのない夜の町並みを散策していただく全100日間のプログラムである。地元スタッフと旅行会社の共同で、「絞り教室」や「瓦教室」を含む3つの有料体験プランも設定し、旅行商品の造成にも取り組んだ。有松地区の東海道沿道では、今も卯建を設けた和瓦の屋根、塗籠造、虫籠窓といった江戸時代の面影を残す伝統的建造物群がまちなみを形成している。今回の企画では、地域の歴史とも深いかかわりのある2つの伝統産業を組み合わせることで、新たな息吹をもたらした。今後も新しいコラボレーションやこれまでにない発想により、相互の伝統産業の新しいカタチを見出していく。
「絞」と「瓦」の組み合わせにより、伝統産業の新たな活用に取り組んでいる点や、歴史的背景を組み込んで、ストーリー性を持たせている点が評価された。また、地元スタッフと旅行会社の共同作業により、今回の企画に取り組んでいることもポイントとなり、観光庁長官賞に選定された。
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