姫路市

金賞:姫路市(兵庫県姫路市)

概要

姫路市は戦後、各種鉄鋼、機械、造船、石油、化学、さらには食品など多種多様な企業が集積し、日本有数の産業拠点となり、現在31の施設が見学・体験の受入を行っている。
姫路市では、平成22年からの姫路城修理工事期間中の集客対策として産業観光に着目。逆転の発想で姫路城修理そのものを新たな観光資源にしようと、姫路城大天守修理見学施設(「天空の白鷺」)をオープンした。素屋根と呼ばれる大屋根の中にエレベーターを設置し、世界遺産・姫路城の保存修理の現場や匠の技が逐次見学できる。まさに“逆転の発想”ともいうべき事業が、産業観光の新しい手法と可能性を拓いたものと言える。
姫路市には、これら姫路城を支える瓦工場や仏壇工房、漆工房などがあり、これら技術を受け継いだ製鎖工場やゴルフクラブなどを製造する現代工場も展開する。また、姫路の城下町文化を感じさせる酒蔵や菓子工場など多数あり、見学や体験の受入を行っている。
姫路市では、これらの技術や歴史を伝承するため、親子向けのものづくりガイドブックなどを作成し、将来を担う子供たちに触れてもらおうとしており、姫路市産業観光ツアーも実施している。

評価

・姫路市では行政はもとより商工会議所や企業、市民団体など多様な主体が連携して産業観光の発展に熱心に取り組んでいる。
・姫路城天守閣の改修工事を、逆転の発想で観光客に対して公開していることは、観光客の知的好奇心を満足させるとともに、地域技術の周知・継承に結びつく。
・地域がこのことをしっかり意識して産業観光に力を入れているという点で、ビジネスモデルをしっかり持っている。
・姫路市には近代産業というものが大きく集積しており、日本の伝統産業と近代産業とのコラボレーションも高く評価したい。
・また、鍛冶町や紺屋町などの城郭を核とした整然とした街並みがあり、これらの資源を活かした新たなまちづくりも進んでいるところが高く評価される。

姫路城修理見学施設 8階からの見学風景

<姫路城修理見学施設 8階からの見学風景>

姫路城修理見学施設 案内をするボランティア

<姫路城修理見学施設 案内をするボランティア>