栗原市

特別賞:栗原市(宮城県栗原市)

概要

栗原市は平成17年4月に旧栗原郡の10町村が合併して発足した。合併後の18年からは、エベネザー・ハワードの田園都市をコンセプトとする「田園観光都市室」を設置し、観光交流を軸とした田園観光都市づくりに取り組んでいる。「長屋門」など長閑な田園風景が魅力的だが、旧鶯沢町には1200年の歴史をもつ鉛鉱山・細倉鉱山があり、その軌道となった栗原田園鉄道(19年4月廃止)が、鉱山と農村エリアを結んでいた。2007年には、これら鉄道遺産を含む「細倉鉱山関連施設」が経済産業省「近代化産業遺産」の認定を受けたことや、細倉鉱山の「旧佐野社宅」が映画東京タワーのロケ地となったことなどもあり、観光PRやボランティアガイドの仕組みづくりなどが進み、多くの観光客が訪れるようになった。

評価

「田園都市」と鉱山都市、これらを結ぶ栗原電鉄などの全体を観光交流資源として活かしていこうという基本姿勢が評価される。もともと農業土木や利水技術と鉱山技術(排水)、鉱山の機械修理技術と栗原電鉄の車両等機械修理技術や地織などの繊維機械などが相互に結びついて発展してきたと思われる。こうした地域の全体像・全ての資源を活かすという視点のもとに、さまざまなモニターツアーへの取り組み、ガイドなどの人材育成、観光交流を起点としたコミュニティービジネスの創造など、積極的に新しい試みをしている点が評価できる。

*なお、栗原市は、今年6月の岩手宮城地震で大きな被害を被ったが、活動を途絶えさせたくないという強い思いから、この産業観光まちづくり賞にも果敢にご応募頂いた。