トップページNEWS一覧>記事

 

 NEWS

2024.3.4

City Destinations Alliance (CityDNA)
CityDNA Autumn Conference2023(秋大会)報告

-City Destinations Alliance(CityDNA)とは

 フランス、ディジョンに本拠地を置く、観光の潜在力を展開するためのヨーロッパのDMO等の統括団体。現在、ヨーロッパ各地の都市120DMOが加盟しているが、北米(Destinations International等)とのネットワークも有しています。また、DMOが抱える課題を解決する場の提供、今後歩むべき方向性を共有する役割を果たしています。

#CityDNA - City Destinations Alliance

-CityDNA秋大会2023-

 今回はヨーロッパDMOの現状を把握すると共に、観光業界の世界的な潮流をつかむため、主要な欧州DMOが加盟するCityDNA秋大会に参加しました。受付で渡されたネームタグも紙で出来ており、ヨーロッパ特有の環境を意識したものでした。


1. 日時・場所等
10月4日(水)~10月7日(土) Hotel Primus Valencia, Spain

2. 主催 City Destinations Alliance

3. 参加対象:欧州を中心とした世界各国のDMO及び観光事業に関わる企業の従事者240名

4. 秋大会概要:“Building Blocks for Destination Positive,”のテーマのもとに、よりよい都市とデスティネーションの形成に向けて多様なセッション、刺激的なディスカッション、革新的なアプローチが紹介されました。

5. プログラムについて

10月4日
09:00 - 12:30 GDSフォーラム
11:00 - ナレッジグループ・オープンセッション
11:00 - 12:00 観光案内所「チャットGPT、敵か味方か?」
13:30 - 14:20 サステナビリティ「持続可能な変革を推進するためのKPI活用法」
14:30 - 15:20 リサーチ&洞察「観光に対する住民の意識を測る」
15:30 - 16:20 「ワークショップ/明日の旅行者たち」
16:30 - 17:30 「観光セッションのためのデータスペース」
19:00 GDS-AWARDS セレモニーとCityDNA夕食会(オーシャングラフィック水族館)

10月5日
08:45 オープニング
09:30 デスティネーション・ポジティブのためにブロックを積み上げる
10:45 コーヒーブレイク
11:15 民間大使の力を結集:フィレンツェCVB、バレンシアCVB、コペンハーゲン
11:15 より良いビジターエクスペリエンスのためにシティカードを有効活用する
12:00 昼食
13:00 デスティネーション・ポジティブのためにブロックを積み上げる:ピープル・ポジティブ・プレイス:メサ、ボルドー等
14:00 あなたの都市の属性と多様性
14:00 会議がもたらすポジティブ・インパクト:新たな目的を持ったビジネスモデル - パート1
14:30 コーヒーブレイク
15:00 コミュニティや文化とより良い都市の構築:オスロ、ブタペスト等
15:00 会議がもたらすポジティブ・インパクト:新しいビジネスモデルその2
16:05 デスティネーション・ポジティブのためにブロックを積み上げる:我々はまだそこにいるのか?
16:10 バリューグラフィックス・ラウンド2:ピープル・ポジティブとデスティネーション・ポジティブをつなぐ
16:30 Vivacities - あなたでなければ誰?
19:30 レセプション at ateneo mercantil

10月6日
09:00 アライアンスの現状
09:30 デスティネーション・ポジティブのためにブロックを積み上げる:ウェルカム・バック
09:45 テック・ポジティブ・シティ・デスティネーション:ForwardKeys、UrbanistAI
10:50 ベンチマークはポジティブかネガティブか? 都市旅行レポート2023
11:05 コーヒーブレイク
11:30 データポジティブなデスティネーション
11:30 B2BからH2Hへ:AIが加速するデスティネーション戦略
12:30 昼食
13:30 デスティネーション・ポジティブのためにブロックを積み上げる:
より良い都市再生のためにブロックを積み上げる
13:35 あなたの街の秘密のソース
13:35 イベントによるデスティネーション創出:グラスゴー商工会議所、ヨーテボリ、バレンシア・マラソン&バレンシアスポーツ
14:30 コーヒーブレイク
15:00 再生可能な都市変革のためのイベント資金調達プログラムの活用
15:00 ライブデモ:アーバニストAIによる都市の未来の再構築
15:50 デスティネーション・ポジティブのためにブロックを積み上げる:我々はまだそこにいるのか?
16:00 都市の再生開発を通じて住民の幸福に取り組む
17:00 さようなら!また、お会いしましょう!

以下、日ごとにセッションのいくつかについて、まとめました。


10月4日
CityDNAが開設している7つのナレッジ・グループから、今回3つのセッションが開かれました。

11:00-12:00
〇観光案内所「チャットGPT、敵か味方か?」(TOURIST INFORMATION CENTRES CHATGPT,FRIEND OR FOE?)
 Visitバルセロナ、 Visitビルバオのモデレーターのもと、フィンランドのヘルシンキDMO、スウェーデンのゴーセンブルクDMOが観光案内所でのAI、ChatGPTの活用について議論を行いました。AI対サービスアドバイザーのどちらが良いのかというテーマでは、AIは便利だが、間違いも起こすので、内容の正確性について、再確認する必要があるが、人材不足をカバーし即答性もあるので、定型の質問には有効との意見が挙がりました。言語や回答を修正すれば活用でき、良い友人であり、アドバイザーになり得るとのことでした。映像認識においても、ミスを起こす可能性があるので、ある程度正確な情報を認識するまではその都度、修正を加えることが必要という意見もありました。会場からも様々な意見が出ましたが、いずれにしても、見方を変えて、AIと戦うのではなく、如何に上手に付き合い、データを活用出来るかがカギとなるとのことでした。ただし、地元のユニークな情報は観光案内所のスタッフの方が詳しいこともあるので、そのような点で人間の役割も大きいとの意見もあり、ChatGPTは新しい同僚と考えていくことが重要との考えが示されました。



14:30 - 15:20
〇リサーチと洞察「観光に対する住民の意識を測る」(RESEARCH & INSIGHTS‘MEASURING THE ATTITUDES OF RESIDENTS TOWARDS TOURISM)
  観光に対する住民の意識調査について、その重要度や測定方法は、DMOの課題の一つでした。持続可能な観光では、観光客が満足しているだけでなく、住民も同様に満足しているというバランスが必要です。このグループのDMOの大多数がすでに住民調査を行っており、観光にプラスの指標、マイナスの指標、生活の質、シビックプライドなどを測定しました。調査が最も一般的な手法であり、少なくとも50%のDMOが年に1回調査していました。
  ケース1:ゲント(ベルギー)では、観光客と住民の間のバランスを保つために調査を実施、4つの個別要因(経済的利益、心理的、社会的、政治的)から質問を設定した。オンライン調査で20分、5つのフランドル地方の芸術都市で実施、2年に一度、参加者は年齢、性別、教育、居住地、国籍を代表するサンプルで、SNSやパネル、webへの申し込みで募集。過去4回の調査で観光を重要としている住民の割合は安定しているが、クルーズ客や中心地の混雑へのネガティブな意識は年々増えてきている。しかし中心地には学生や駐在員も大勢いて、観光客だけではないということをDMOが住民へ説明しなければならならない。
  ケース2:バルセロナ(スペイン)では、4つのトピックについて住民の視点を理解するために実施。①経済と都市における観光の役割、②観光が都市に与える影響、③郊外や近隣への影響、④観光・旅行者との関わり。2007年から通常年間4000件調査、主な調査項目は、観光はバルセロナにとって有益かそれとも危害を与えるものか、というもので近年は中立回答が増えている。その結果は市と観光評議会(公共団体、協会、政治家の代表など)で取り上げられている。
  ケース3:リュブリャナ(スロベニア)では、2016年に調査を開始、項目は30問だが、問題は外部事業者がアンケートを実施し事業者が変わると質問も変わっていったこと。その間のサンプルサイズは1000。今年変更、オンライン調査になった。パネルからデータ収集。その他にフォーカス調査も実施、対象は15名。オンライン調査は、定量的な項目と住民のリュブリャナの観光への意識、生活の満足度を尋ねる項目だ。実際には、過去30日間で幸せだったかどうか、主要なイベントの開催場所・開催時間に焦点をあてて尋ねている。市内中心部地区とシシュカ地区では規模が違い住民の意識が違う。市内中心部の住民は高価格で住民向けの店がないことに不満を持っている。
  ケース4:コペンハーゲン(デンマーク)の調査の真の目的は、DMOのビジネスに対して住民から継続してサポートしているかを確認するため。住民調査は2016年から開始したが、2022年から月別に調査している。季節性や大規模イベントやカンファレンスの影響を知るためである。10の質問からなるオンライン調査で毎月1000人の住民に依頼、このうち200人は最も観光客が集中する中心地区の住民。結果はダッシュボードで全政策決定者にシェアされる。住民にはシティをどのように使用しているかを尋ねている。市の中心部は混雑が激しいが実際のところ、市中心部や郊外の市民かもしれない。中心部の市民は毎月80%以上がレストランに行き、市民の半分が博物館や文化活動に参加している。先月、観光客は何か問題を起こしているか?月別地域別に比較すると、市中心部の住民の回答が常に高く、問題は住民にあるということが明らかだ。中心部の市民は観光へのサポートや満足が最も低い。月別把握は課題をより正確に特定できるようになる。



19:00
〇GDS-AwardsセレモニーとCityDNA夕食会(GDS-AWARDS CEREMONY & CITYDNA CELEBRATION DINNER at OCEANOGRAFIC)
 GDS-Awardsとの共催で、ユニークベニューとして、オーシャングラフィック水族館で実施、地元バレンシアの歌や組体操も披露されました。こちらでは自由なネットワーキングの機会を得られます。偶然にもMMGY/TCIの方と話す機会があり、観光情報活用に関して意見交換を行いました。



後半へ続く