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 NEWS

2023.6.28

【DestinationNEXT Futures Study2023】
Global Advisory Group活動参加報告

―DestinationNEXT Futures Study概要―
 DestinationNEXT Futures Study(以下FS)は、DMO・コンベンションビューロー(CVBs)を世界で唯一専門に統括する団体DestinationsInternationalが発表する、世界中のDMOの活動の指針となるリポートで、2014年から始まり2017年、2019年、2021年とリリースされ今回で5回目のリポートとなります。次の3年間を視野に、最新の世界の観光トレンドと観光地がとるべき戦略が、世界中のDMO、CVBsからの代表者の意見、アンケート調査結果をもとに、項目、その優先順位が決められていきます。観光地の産業育成や、持続的な観光地づくり、地域社会のつながりの深化を求められるDMO、CVBsにとっては重要なロードマップとなっています。

(※詳しい情報はhttps://www.nihon-kankou.or.jp/dmo/news/futurestudy_top.html

DestinationNEXT Futures Study

―Global Advisory Group概要―
 今回、日本観光振興協会として、観光地域づくり・人材育成部門の担当職員が、2023年版の作成過程に参加する機会を得ましたのでその過程をご紹介します。2023年3月中旬に、DestinationNEXT Futures Study 2023 Global Advisory Group(グローバルアドバイザリーグループ以下GAG)が組織され、構成員Global Membersが指名されました。

Global Advisory Group

グループの役割・責任は以下のようになっています。
・新しいFutures Studyを作成する計画や方法に関してプロジェクトチームにフィードバックを提供する
・主要なトレンド、戦略に関する実務的洞察を加える
・自分のいる地域、また世界での観光地診断ツールD-NEXTの推進役として同僚に対して主導的にふるまう
・観光産業で要となるリーダーに対するアンケート調査の配布を促進し、サポートする
・D-NEXTのシナリオモデル・評価ツールにフィードバックをし、有効的なものにする
・2023Futures Studyの配布を促進する

Global Advisory Group

GAGは、世界を5つのグループ(アメリカ合衆国・カナダ・南北アメリカ&カリブ・EMEA(欧州・中東・アフリカ)・アジア太平洋)に分かれ、合計70人が選定されました。各地域にはまとめ役が1~2人選ばれます。日本からは日本観光振興協会から1人選定されています。日本はアジア太平洋地域で、他にはオーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、韓国からノミネートされています。

Global members

 またその委員と別に、委員会が4つ設けられ、それぞれIndustry (観光産業)Community(地域社会) Disruptors (変革者)Customers(イベント等開催者)という分野別になります。
・Industryは業界全体、様々な協会やサプライチェーンまで含んでいます。
・Communityは地域社会のリーダー、政府、行政機関、経済開発団体も含み、学識者もそこに含まれます。
・Disruptorsはテクノロジー関連を中心に組成します。大規模なテクカンパニー(IT企業)などを指します。例えば生産的なAIとはどのようなものなのかを理解するのは容易なことではないので、学識者を交えてCommunityパネルとも話し合っていきます。
・Customersは大規模会議のプランナーやイベントオーガナイザー、商談会開催者などを想定します。

―GAGの実際の様子―
 会議は毎回オンラインで、このメンバーが基本で、このメンバーにDestinationsInternatinalの北米のスタッフなどが入りファシリテートしていきます。もちろん5つのグループ会議は時差の関係で別々の時間帯に開かれます。日本が属するアジア太平洋は、会議の開催が非常に大変でした。上記の国が日付変更線をまたいで東半球と西半球に分かれているし、さらに赤道で北半球と南半球にも分かれており、皆が集まることができる時間は限られ、北米の太平洋時間の午後5時、日本時間の翌日午前9時が定番となっていました。
 毎回きちんとやるべきアジェンダが提示されます。メリハリのある会議運営がなされ、無駄がありません。概して日本より「生産性」が高い北米の事業推進の仕方を体感しました。

アジェンダ

 会議は毎回1時間ほどですが、非常にエキサイティングなものでした。
初回はFutures Studyのtrendを決めるために、今後三年間の主要トレンドになるものを自由に挙げていくというものでした。ここでは、web会議システムの画面上で表示されているQRコードを、太平洋を挟んで各国にいる参加者が各々の手持ちのスマホで読み込み、

三年間の主要トレンド

 公平な判断を行うために表示上は匿名ですが、各発言の真意を問うために、「この意見は誰のですか?」と訊かれ、活発な意見交換が行われます。

―GAGの目的―
 そして、会議体の目的も改めて明確に説明がされました。

会議体の目的

 目的は2つが示されました。「①観光産業・ビジネスイベント両方の主要産業トレンドを明確にし、DMOやCVBsの主要戦略を決定する一助となる新しいFutures Studyを創り出す②世界330か所以上で使われているDestinationNEXTシナリオモデル・評価ツールを見直す」となっています。
 また前回の2021年版と比べて、トレンドと戦略は数を絞りそれぞれ100から60、80から60くらいにして消化しやすいものとする方針になりました。(その後さらに絞ってそれぞれ50にすると方針変更)

project plan


―GAGの運営サイクル―
 その次の会議までにDestinationsInternationalの上層部、各委員会などでの討議がなされ、全5地域から上がったものが一覧にされて一旦送付されてきます。各GAGメンバーはそれを読み込み、意見を会議までに出しておく、というサイクルで動いていきます。会議までにも5地域の意見が反映されたいろいろな修正が加わり、会議当日に提示されるものが送付されてきているものからさらに修正されていることが多かったです。
運営サイクル


―GAGの多様性―
 毎回の会議は非常にエキサイティングなものです。毎回挙げられた項目を画面上で表示しながら、加筆修正、削除などを、その場で参加者の意見を反映してどんどんと進めていきます。カナダ、アメリカ、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアと、参加者はそれぞれの国の発音の英語で、多様なバックグランドを背景にして、多くの議題に関して活発な意見を出していきます。このような会議体が世界の5地域ごとに行われて、観光に関するトレンドに関しての様々な意見を吸い上げ、世界的な潮流としてまとめられていきます。
日本からの意見もできるだけ反映してもらえるように、発言を心がけています。

トレンド


 このトレンドは、最終的に50になり、その順位付けも、GAGメンバー全員と選抜された観光産業をけん引する若い世代にアンケートがなされて決まります。そして、これに加えてストラテジー(戦略)も50項目がGAGメンバーのアンケート調査と世界全体のDMOを対象に行うアンケート調査の結果から決定されます。その50のトレンドと50のストラテジーをまとめ、さらにDestinationsInternationalのプロジェクトチームがFuture Map(未来への指針)とKey Takeaways(重要項目)を決定し、Futures Study2023が完成となります。

―最後に―
 今後も日本観光振興協会が、DestinationsInternationalとの関係をより強化・深化させて、日本で観光振興に日々邁進されている自治体・DMO・観光協会・事業者の皆様に、世界の観光産業は今どこに向かっているのか、どのような価値観を産み出し、共有しているのか、最新のトレンドをいち早くお伝えしていくことができればと考えております。