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2022.3.22

【D-NEXT】地域の合意形成を支援
「Destination-NEXTを活用した観光地域診断」
④新潟DMOにおけるワークショップ1の実施方法の検討および開催報告

1.ワークショップ1の実施方法の検討

 今回は、(公社)新潟県観光協会(以下、新潟DMOと記します)で行ったワークショップ1(アンケート調査及びリアルタイムでの結果共有)実施方法の検討、策定についてご紹介いたします。以下はNEXT FACTOR社(以下「NF社」と記します)が行っているワークショップ1の基本的なフレームワークです。こちらをもとに、新潟DMOの状況に合わせたワークショップ1の開催方法を検討するため、新潟DMO、NEXT FACTOR社、当協会の3者で打ち合わせを行いました。


 新潟DMOはワークショップ1の実施方法として、会場にてライブアンケート調査に参加する方法と調査対象期間中にURL又は紙の調査票から回答する方法を選択しました。
 日程は11月9日~11日の3日間を予定し、11月2日~5日にかけてNF社との3者打合せを実施する中でZoom機能、Wifiを含めた接続確認テストを行いました。接続テストはライブ調査をする3か所の会場とカナダのNF社をZoomでつなぎ行いました。まず、NF社よりアンケート調査を行うための「Mentiシステム」を起動し、スクリーンへの表示の状況を確認したところ、質問文の文字が小さく見づらいことが判明しました。NF社は修正を試みましたが、システムの機能上、改善は難しく、新潟DMOは対応策として、会場にて質問文が記載された調査票を配布することとしました。
 また、ワークショップ1の進行方法について、新潟DMOはシナリオを作成し、NF社と役割分担や段取りについて事前に打ち合わせを行いました。その結果、冒頭のD-NEXTの概要説明は新潟DMOが行うことに決まりました。アンケート調査の回答結果については、12の変数ごとに、NF社から簡単な分析とアドバイスをいただき、新潟DMOが逐次通訳にて、参加者へリアルタイムで伝えることを重視しました。

(1)調査の回答方法について
 D-NEXT 調査は、「観光地域の強み」と「地域の連携」の12の各変数*が、県の観光振興にとってどの程度重要であるかを評価する設問と、各変数に関連づいた項目が、地域の現状にどの程度当てはまるかを評価する2通りの評価方法から構成されおり、前者をRelative Importance(以下、「RI」と記します)、後者をPerceived Importance(以下、「PP」と記します)と表現しています。
*参照:【D-NEXT】地域の合意形成を支援「Destination-NEXTを活用した観光地域診断」
③新潟DMO・麒麟のまちDMO調査項目のカスタマイズ及び調査対象者の検討


 調査の実施方法を検討するにあたり、NF社から新潟DMOに対して、変数の重要度を図るRI(パート1と3)では、県の観光に詳しい方々が望ましく、あまり観光を理解していない方々の評価が加わることにより、現状に即した調査結果を得られない可能性があるので、調査対象者を限定した方が良いのではとアドバイスがありました。
 そのアドバイスを踏まえ、最終的に新潟DMOは、RIの回答者は、観光施策の決定に携わる行政および県内観光圏、DMO等の観光関連組織のマネジメント層を含む観光を良く理解されていると想定される方々に限定することとしました。
 PPと新潟DMOが独自に追加した設問については、すべての参加者に回答頂き、幅広い関係者の現状評価が反映されるようにしました。
 調査方法については、RI回答者とそれ以外の全ての地域関係者に分けて、異なる方法で行うこととしました。

調査対象者 回答項目 調査方法
RI回答者 ・RI(各変数の重要度を評価する質問)
・PP(各変数に関連する地域の現状評価をする質問)
・新潟DMOの追加質問
・会場には来場せず、調査対象期間中にURL(または紙の調査票)から回答
上記以外の全ての地域関係者 ・PP(各変数に関連する地域の現状評価をする質問)
・新潟DMOの追加質問
・当日ライブ会場にて回答
(URLまたは紙の調査票)
・会場には来場せず、調査対象期間中にURL(または紙の調査票)から回答


(2)調査の依頼方法について
 調査の依頼については、新潟DMOからD-NEXTの概要と回答方法を記載した依頼文書を送付しました。 確実に参加して頂きたい観光を良く理解されていると想定される方々には、行政や観光協会の担当窓口の方から直接、依頼をして頂き、議員へは各市町村の担当部署に協力して頂く等、多くの方に参加して頂くための様々な工夫が見受けられました。

2. ワークショップ1の開催報告

 新潟DMOは、このアンケート調査を通じて観光関連事業者のみならず、他産業の事業者や各市町行政機関を含めた、幅広い関係者の方に「新潟県の観光発展についての意識」と「地域内での協力関係」を伺い、その調査結果を共有しながら、今後の観光地域づくり戦略に活用するとともに、より地域関係者の満足度向上につながる施策に役立てるために以下の通りD-NEXTのワークショップ1を実施しました。

2-1. 実施概要
実施日 2021年11月9日~11日(3日間) 10:00~12:00
会場

9日  上越会場 上越市民プラザ
10日  下越会場 朱鷺メッセ
11日 中越会場 長岡まちなかキャンパス

参加人数

9日  12名
10日  39名
11日 14名


2-2.ワークショップ1の全体スケジュールおよび実施方法

 新潟DMOは開始後、スムーズに調査へ移行できるよう、会場へ到着した参加者に対し、机上に配布したwifiスポットのID・パスワードにて、順次インターネットへ接続して頂くよう、受付時および会場内アナウンスにて促す方法を取りました。

(1) DMOから開会挨拶、DMOの活動紹介、D-NEXTの実施意義について説明
(2) D-NEXTの概要説明、NF社の紹介およびポール氏、シリン氏から自己紹介
(3) アンケート調査第1部(観光地域の強みについて)
  ① 回答方法、実施の注意事項、調査の流れについて説明
  ※参加者は受付時に配られたQRコードをスキャンし、回答システムへログイン。
  (紙での回答も可能)
  ② 変数ごとにNF社が質問事項を説明→DMO側が通訳し、質問の意図等を説明
  ③ 参加者がシステム上で回答
  ④ 変数ごとにNF社が結果をスクリーンに表示しコメント→DMO側が逐次通訳
  ⑤ 次の設問へ(12の変数分繰り返し)
  ⑥ 最終質問の後、NF社が結果をまとめてスクリーンに表示しコメント→DMO側が逐次通訳
(4) 休憩
(5) アンケート調査第2部(地域の連携について)
  流れは(3)アンケート調査第1部と同様
(6) 全ての調査終了後、NF社ポール氏から総括コメント→DMO側が逐次通訳
(7) DMOから事務連絡
(ワークショップ参加の御礼、今後の調査プロセスの共有、調査結果のエリアでの共有に関して)

2-3.ワークショップ1の具体的な内容

(1)新潟DMOの事業とD-NEXT実施に至った経緯について
 まず、新潟DMOの早福常務理事から、同DMOの実施事業の内容や今回のD-NEXT実施趣旨等について説明いただきました。新潟DMOは、地域連携DMOとして「新潟ガストロノミー」「サクラクオリティー」「インバウント」を重点テーマに、エリアミーティングやデータマーケティング等の事業を通じて、新潟県の地域づくりに取り組んでおり、DMO登録からちょうど3年目を迎える中で、現在のDMOとしての状況を客観的に分析し、多くの関係する方々との合意形成のもと、目指すべき方向を共有して、観光地域づくりを一層促進させたい旨をお話しいただきました。

(2)D-NEXTを活用したアンケート調査の実施
 新潟DMOより、回答方法、注意事項および調査回答の流れについて説明をしました。参加者には、受付時に配布したアンケートシステムのQRコードをスキャンし、ログインするよう案内がありました。その後、NF社のシリン氏は全ての参加者が、回答者情報を入力したことを確認し、調査を開始しました。

(3)工夫された点や日観振からのコメント
・ログイン完了後の状態が分かりづらいとの声があった為、会場スクリーンにログイン後の待機状態の画像と説明を追加した。
・受付時や開始前の会場アナウンスで、ログイン方法について説明し、調査の設問数が多い旨と、事前に調査項目に目を通していただくことを促すことで、ワークショップを円滑に行った。
・新潟DMOは進行において分刻みのシナリオを作成し、事前に何度もNF社や通訳と綿密な擦り合わせをした為、当日の進行は非常にスムーズだった。 特にNF社からの英語での説明部分は必要最小限とし、日本語での簡潔な説明を心掛けたことが功を奏した。

(4)新潟DMOによるコメント
・長時間にわたる調査だったので、いい意味でも悪い意味でも、これだけ時間をかけた調査で出た結果はどのように活かすのか?という点につき、参加者の関心が伺えた。関心を持ってもらえるのはいいことと感じている。
・調査には、都合が悪く参加できなかった方にも、現状と課題を共有し、なるべく多くの人に、現状と今後の進むべき方向を理解してもらうようにしたい。

(5)ワークショップ1の様子
会場の様子
会場の様子
アンケート調査画面
アンケート調査画面