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2022.3.8

【D-NEXT】地域の合意形成を支援
「Destination-NEXTを活用した観光地域診断」
③新潟DMO・麒麟のまちDMO調査項目のカスタマイズ及び調査対象者の検討

1.新潟DMO・麒麟のまちDMO調査項目のカスタマイズ
 Destination-NEXT(以下、D-NEXTと記します)では調査項目の基本テンプレートが用意されています。これは世界の観光トレンドを反映するため、数年ごとに見直しされていますが、昨年度、コロナ禍の状況や昨今の状況を鑑みて、変数の見直しが実施されました。
 D-NEXTは「観光地域としての強み(Destination Strength)」と「地域における協力関係(Community Alignment)」の2つに分類され、今回の見直しで、それぞれ12個の変数となりました。(新規変数については下記に赤丸で示します。)この2つの大きな分類の中で、12個の各変数を評価する手法として、Relative Performanceがあり、各自がその重要度を1~10点で評価します。また、さらに深い分析を行うために、変数ごとに調査項目が設定されており、その程度を5段階評価することで参加者の現状評価を点数化し、真に重要な変数を可視化する手法として、Perceived Performanceがあります。その結果、DMOは、どの変数を重要視して、地域づくりを行うかの指標を得ることとなります。
 (公社)新潟県観光協会(以下、「新潟DMO」と記します)と(一社)麒麟のまち観光局(以下、「麒麟のまちDMO」と記します)はD-NEXTのそのような特徴を生かしながら、地域特性に合わせた調査を行う為に、D-NEXTの基本テンプレートと別に調査項目を追加しました。 なお、今年度は日本観光振興協会にて、D-NEXTの調査項目の基本テンプレートの翻訳を行い、各DMO同士の調査結果の比較検討実施のため、基本テンプレート自体の加筆修正は不可としました。

■D-NEXTの変数について  ※○で囲った項目は、今年度新規に追加された指標
観光地域としての強み(Destination Strength) 

観光地域としての強み

地域における協力関係(Community Alignment)
地域における協力関係

(1) 新潟県観光協会が追加した調査項目

 新潟DMOは、ガストロノミーツーリズムを始め、県規模での観光振興事業を展開していますが、観光関連団体・事業者・地域関係者間において、どの程度地域に浸透し、かつ各々が、どのようなイメージを持っているかを調査するため、新潟DMO及び県が推進している8つの施策について、重要度を評価する調査項目を追加しました。併せて、新型コロナウィルス感染症の収束後、観光需要回復までの見通しについて、期間を尋ねる設問も加えられました。

今回、新たに追加された設問は以下の通りです。(※主な項目を抜粋)

○ 新型コロナウィルス感染症の収束後、どれくらいの期間をあければ国内旅行、海外旅行への抵抗がなくなるか、また外国人観光客を歓迎できるかをそれぞれ、5段階評価してください。

○ DMO及び新潟県が実施している取組みが、県の観光振興にとってどの程度重要であるか、項目ごとに5段階で評価してください。
・食の背景になる歴史・文化・自然などを合わせて紹介するガストロノミーのブランディングは、どの程度重要か。
・宿泊施設の品質向上を図るサクラクオリティ―の取組はどの程度重要か。
・意見交換・企画検討の場として、県内7エリアで定期的に開催するエリアミーティングはどの程度重要か。
・新潟県の観光のファンを作り、データを活用する新潟ファンクラブ事業はどの程度重要か。

○ 令和3年3月に制定された「新潟県観光立県推進行動計画」は、県の観光振興にどの程度重要か。

(2)麒麟のまち観光局が追加した調査項目

 麒麟のまちDMOは現在、観光販売戦略を策定していますが、D-NEXTを活用して、行政・観光協会・各事業者等の意識のズレを把握し、DMOがマネジメントすることで地域の合意形成を促し、観光販売戦略に沿った圏域観光消費の拡大に向けて意識の統一化を図ることを目指しています。その一環として、DMOの注力すべきことをより、明確にするため、以下の質問が追加されました。

〇 当該DMOはどの分野に対して、財源を投下するべきだと思いますか? 最も重要だと思う項目を以下から一つ選んでください。
    マネジメント(マーケティング含む)
    コンテンツ造成
    受入環境整備
    販売プロモーション
    人材育成
 以上の通りD-NEXTのアンケート調査は基本のテンプレートは存在するものの、地域の実情に合わせて、質問を追加することが可能です。
 また、2つのDMOの追加質問内容を考慮すると、それぞれの地域の特徴や各DMOが今回のD-NEXTを用いて、何を重視し、把握したいと考えているかがより浮き彫りとなりました。

2.新潟DMO・麒麟のまちDMO調査対象者の検討
 Next Factor社はD-NEXTによる観光地域診断において、アンケート調査を実施する際、観光関連事業者のみならず、他産業の事業者や各市町行政機関を含めた、幅広い関係者の方を対象にすることで、より地域の多様な考え方を理解し、反映することが出来ると考えています。そのような考え方に則って、(公社)新潟県観光協会(以下、「新潟DMO」と記します)、(一社)麒麟のまち観光局(以下、麒麟のまちDMOと記します)においても、地域ならではの他産業事業者を含めた地域内事業者、行政、DMO等の考えを把握するために、D-NEXTの調査対象者の検討を行いました。

(1) 新潟県DMO

(1-1)調査対象者の検討
 まず、新潟DMOと日本観光振興協会の打ち合わせで、調査対象者の検討を行いました。
新潟DMOは設立から3年を迎え、県域DMOとしての在り方を改めて検討しているところであり、県が実施しているガストロノミー等の観光施策を調査対象者がどの程度理解しているのか調査したいと考えていました。その為、D-NEXTによる調査を実施することで、会員・地域の観光に対する意識を可視化したいという希望がありました。
調査対象者を選定するにあたっては、県全域の地域関係者を対象とするため、行政や観光関連団体のみならず、特にこれまであまり関わりのなかった観光以外の産業(教育や農業、漁業等)や地域を代表する事業者(刃物、金物等の伝統産業)も意識的に取り込むことを目標としました。
 アンケート調査回収数に関しては、地域の関係事業者数を考慮して、合計748件を目標とし、県全域の事業者、行政の方々へアンケート調査を依頼しました。尚、出来るだけ多くのサンプルを集めるため、新潟DMOの会員以外についても、各業界団体リストから抽出するなどして、合計1800件程度の候補者へアンケートを依頼することとしました。

大カテゴリー 小カテゴリー 回収目標数
①議会 県議会議員、市議会議員 16
②行政 国行政、県行政、市町村行政 37
③DMO DMO理事メンバ-、DMO職員 20
④観光関連団体・事業者 観光協会、宿泊、飲食・お土産、観光施設、芸能・歴史・文化博物館及び体験団体等、イベント、会議等施設、交通、旅行代理店 584

⑤地域関係者・ 他産業事業者

商工会、地域振興団体、教育、報道、その他産業 91
  合計 748

(1-2)地域の特性からみるポイント
 新潟は県域が広く、県内の各地域に様々な産業があるため、スキー場、キャンプ場、各種フェス実行委員会、農林水産業、伝統産業なども調査対象へ追加しました。 また、新潟DMOの担当者からは上越、中越、下越の各地域によって、主要産業構造の違いから観光に対する意識が異なっているので、その違いを明確にし、合意形成を図りながら地域の状況に応じた観光振興に取組んでいきたいとの意見がありました。

(2) 麒麟のまちDMO

(2-1)調査対象者の検討
 まず、麒麟のまちDMOと日本観光振興協会の打ち合わせで、調査対象者の検討を行いました。
麒麟のまちDMOの管轄地域である、鳥取県東部と兵庫県北西部は生活圏・経済圏・文化圏が一体となっていますが、地域により観光に対する温度差がありました。さらに、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、戦略をゼロベースで見直すこととし、D-NEXTを活用し、現状を把握、また、その分析結果を地域の合意形成に活かすこととなりました。
 調査対象者を選定するにあたっては、当該地域の関係者を対象とするため、行政や観光関連団体のみならず、特にこれまであまり関わりのなかった観光以外の産業(教育や農業、漁業等)も意識的に取り込むことを目標としました。
 アンケート調査回収数に関しては、地域の関係事業者数を考慮して、合計225件を目標とし、管轄地域の事業者、行政の方々へアンケート調査を依頼しました。尚、出来るだけ多くのサンプルを集めるため、麒麟のまちDMOの会員以外についても、行政機関の協力を得て、候補者へアンケートを依頼することとしました。

大カテゴリー 小カテゴリー 回収目標数
①議会 県議会議員、市議会議員 20
②行政 国行政、県行政、市町村行政 50
③DMO DMO理事メンバ-、DMO職員 5
④観光関連団体・事業者 観光協会、宿泊、飲食・お土産、観光施設、芸能・歴史・文化博物館及び体験団体等、イベント、会議等施設、交通、旅行代理店 90

⑤地域関係者・ 他産業事業者

商工会、地域振興団体、教育、報道、その他産業 60
  合計 225

(2-2)地域の特性からみるポイント
 麒麟のまちDMOは海側、内陸(鳥取市内)、山側と様々な地理的条件を備えており、それに伴って様々な産業があるので、農林水産業、伝統産業、体験事業者、酒造会社、林業なども調査対象へ追加しました。このような取組みから、麒麟のまちDMOは、今まで網羅できていなかった多様な地域関係者の声を集め、相違を可視化し、合意形成を図りながら、観光振興に取組んでいきたいとのことです。