産業観光の活用の経緯と現状

(一社)那覇市観光協会では、平成22年に観光まちづくり整備事業である「那覇まちま~い」を設立。「まちま~い」とは沖縄の方言で「まちあるき」を意味する。「那覇まちま~い」は、市民ガイドとともにまちあるきをする着地型旅行商品であり、自然や史跡といった一般的な観光資源だけでなく、沖縄県の特殊な歴史や地政学的背景からの独特な産業・物産も観光資源の一つとして扱っている。また、市民ガイドとの交流は、この事業の大きな魅力の一つとなっており、市民ガイドには最長約6ヶ月の教育と試験合格を求めるなど、ガイド育成にも力を入れている。平成30年6月現在、「那覇まちま~い」は22のコースを設定しており、その中では、伝統的工芸品である「壺屋焼」を紹介するコースや、特産物である 「マグロ」をはじめとする漁市場のセリを見学するコースも設けられている。日本有数の観光地である那覇市では、今後のさらなる観光客の増加と、ニーズの多様化を見据え、「那覇市自身が持つ歴史文化や産業などの那覇らしさを磨き上げる」ことを観光基本計画の中で掲げており、「那覇まちま~い」はまさに、それを体現する取組となっている。「壺屋のツボ」コースを実施している壺屋やちむん通りは、焼き物の商店が並ぶ風情ある通りである。近年アクセスの改善などにより、人の流れも大きく変わってきており、那覇市観光協会では、「那覇まちま~い」のコースを造成することで、さらなる認知度向上に努めている。また、沖縄県は全国有数の生鮮マグロの産地でありながら、その認知度が低いというリサーチを受け、「泊魚市場朝セリと泊いゆまち巡り」コースにて、地場産業の周知にも取り組んでいる。
「那覇まちま~い」の平成29年度の参加者数は全体で約1万5千人であり、SNSやHPなどの情報発信も積極的に行っている。そうした「那覇まちま~い」をモデルとして沖縄県内の各市町村でもそれぞれの「まちあるき」事業が立ち上がっており、全県的な広がりを見せている。

評価

・独自の歴史を持つ沖縄で、「まちあるきガイド」の存在はさらに沖縄観光の価値を高める事に繋がる。常時対応できる組織力も評価できる。魅力ある素材をどのように組立て、どのように観光としての事業成果に結び付けるかが、より長い滞在を決定づける鍵となるため、コースの拡充と更なる内容の充実を期待したい。
・単なる地域住民参加型ではなく教育・試験制度を採り入れ、ガイドの質を高めていくことは重要である。今後はその市民ガイドの更なる活躍の場の創出に期待する。
・沖縄県が従来より行っている海洋リゾート観光に加え、新たな観光の多様性を求めるものであり、沖縄観光の今後の質的向上に期待する。

  • <壺屋の通り>

  • <泊いゆ(魚)まちのガイド風景>