産業観光の活用の経緯と現状

株式会社梅守本店は、奈良市内にて寿司製造工場と販売卸を行っている地域の食品製造メーカーであり「産業観光」とは、無縁の会社であった。社長の梅守氏は平成21年のクリスマスイブ、病室で病気と闘う我が子とともに、お寿司づくりの楽しい時間を過ごした中で、「食べる」ということは「生きる勇気」と「明日への希望」があるという気づきを得た。この体験をきっかけに平成25年から寿司学校事業を開始し、「人が人を大切にする社会を作る。国籍、人種、性別、病気、障害に囚われることなくすべての人が幸せになる為に」、「食」から得られる「感動」をテーマに、エンターテイメント性が高い寿司体験を毎日開催している。参加者の95%はインバウンド客で、これまでの約5年間で30万人以上が参加。梅守寿司学校を目的に観光客が来ることで、周辺の奈良での観光周遊にもつながり、宿泊施設やお土産など、地域産業への波及効果も大きい。
また、株式会社梅守本店が中心となって大和観光協議会を立ち上げ、奈良県山添村という過疎地域において、古民家を宿泊施設に再生させ、インバウンド受入の新たな拠点としての展開を進めている。地方に根付いた伝統的食文化の体験と日本の里山の原風景や地域の人々の温もりなどを含めて、人に優しい「日本」を体感していただく日本文化体感事業となりつつある。この事業により、インバウンド観光事業からはじまる地域の観光資源の活用、過疎地域での経済活動の活性化、雇用の創出、65歳以上の高齢者の活躍の場、障害者の雇用、古民家再生など地域創生事業として各地に展開していくことも視野に入れて活動している。

評価

・一つの企業の生み出した物語の面白さが伝わってくる。食文化と観光を結び地域産業観光活性化に繋げるのみならず、社会貢献まで視野に入れて取り組んでいる点が素晴らしい。
・世界的にも認知度が高い日本の代表的食文化である「寿司」を、食べるだけでなく、エンターテイメント性を持たせて体験型コンテンツとして提供することで、高い経済効果を生み出している点が評価できる。古民家の再生による受入拠点づくりや、地域特有の伝統的食文化体験、里山での交流等、日本文化体験はインバウンド向けとしての魅力度も高い。今後地域連携の取組を一歩押し進めて、地域の看板としてのブランド力向上に期待する。

  • <校長先生との記念写真>

  • <感動寿司体験の様子>