2025年01月01日
提言・広報
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては健やかに新年をお迎えのことと存じます。
昨年は、1月に令和6年能登半島地震が発生し甚大な被害をもたらしましたが、3月には復旧・復興の大きな原動力となり
北陸地域の更なる発展の礎となる北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業いたしました。当協会では、主要な観光関係企業・団
体などと連携し、北陸地方への旅行促進を目的とした「行こうよ!北陸」キャンペーンを展開いたしました。観光産業が一体
となって北陸各地の魅力を発信することで、早期の観光需要回復を実現し、災害復興・地域経済の活性化へ貢献すべく取り組
んでまいりました。
我が国の観光産業について振り返ると、令和6年の訪日外国人旅行者数は過去最高の3,500万人を超え、活況を呈する一方
で、観光現場を担う人材不足や、人気観光地の特定スポットでは混雑が常態化し、地域住民の日常生活への影響が生じるなど、
課題にも直面しています。
観光産業が持続可能な形で成長を遂げていくためには、 DXの推進により生産性や収益力を高めることで、その分人の手で
しか行えないサービスやホスピタリティの向上を行い、多様化する旅行者のニーズに応える提案をすることで、量から質を重
視した観光へと転換することが大変重要です。当協会では、地域のマーケティングデータ戦略支援ツールである「日本観光振
興デジタルプラットフォーム」を構築し、地方自治体に加え、一般企業にも広く提供を開始しました。当協会が保有する全国
の約12万件の観光情報と30の統計・ビッグ・調査データを搭載しており、常に最新のデータを簡単に取得し、地域・企業の効
率的かつ効果的なマーケティング活動の実現に活用いただけます。
また、行政や観光産業は、地域住民へ配慮し共感を得ながら、「観光振興が地域社会・経済に好循環を生む仕組み」をつくる
ことが重要です。これらの結果として、観光産業が魅力ある産業であり続けるとともに、働く場として選ばれることにつなが
ります。当協会では、国内地域の観光マネジメント能力向上の一助となれるよう、北米や欧州のDMOが集まる会議体に積極的
に参加し、海外における最新の取り組み状況等の情報収集にも努めています。例えば、米国のDMOでは基本計画や戦略策定の
数値目標を定めるにあたり、地域の自治体や観光産業だけではなく、地域住民の声やニーズをくみ取ることを重視しており、
多様なステークホルダーの意見を計画段階から反映させています。このように、最近のトレンドや各地のDMOが抱える課題に
ついて意見交換し、得られた情報や知見を国内に広く発信することで、持続可能な観光地づくりに貢献できるよう努めてまいり
ます。
さて、今年はいよいよ「大阪・関西万博」が4月に開幕します。日本中、世界中から多くの観光客が集まり、大阪、関西、さ
らには日本全体が、世界的潮流をとらえた観光地として脚光を浴びる絶好の機会になります。この機会を活かし、多くのお客様
に、関西地方のみならず日本各地を周遊頂き、広域での経済効果を生み出せるよう、観光産業一丸となって努めてまいりたいと
思います。加えて、5月には日本と台湾の観光関係のトップが一堂に会する「日台観光サミット」を鳥取県で開催するほか、9
月には、中部圏で初めての開催となる「ツーリズムEXPOジャパン」が、愛知県国際展示場にて開催されます。
このような様々な機会に加えて、全国組織である利点を活かした事業などを通じ、当協会は政府や地方自治体、観光産業に関
わるあらゆるステークホルダーとともに、持続可能な観光地域づくりを軸とし、観光産業の発展を目指します。これにより、観
光が我が国の経済発展に貢献するとともに、日本の諸課題解決の役割を担えるよう取り組み、国内外に力強く発信することで、
観光の価値向上に邁進する一年にしてまいりたいと思いますので、皆様には引き続きご支援とご協力を賜りたく、お願いを申し
上げます。
最後に、皆様の今年一年のご多幸をご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいた
します。