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2025.9.10

【Destinations International】2025 ANNUAL CONVENTION(年次総会)報告

「Destinations International年次総会DIAC2025」が2025年7月9日~11日にアメリカ合衆国イリノイ州シカゴで開催された。



シカゴは全米トップクラスのMICE都市であり、McCormickPlaceコンベンションセンターに他にもマリオットなどの巨大ホテルが連結している。「北米最大」とうたっているだけあり、24万8000㎡、すなわち「東京ドーム6個分」に相当する。東京ビッグサイト(11.5万㎡)の約2.2倍というとわかりやすいと思う。一周する気も失せるくらいの大きさで、会期中も、部屋を間違えると、移動する戦意を喪失するほどの広さだった。



≪7月8日≫

DIが海外からのメンバーのために2つのイベントを用意してくれていたので(費用はDIもち)参加した。

・シカゴの建築物を見学するリバークルーズ


女性ガイドが川から見える建物・橋などを説明するのだが、その専門的な内容は圧倒的で、きけばシカゴ・アーキテクチャーセンターの方で、学芸員以上、学者のような知識量だった。日本のガイドのレベルを考えると「日本の受け入れ態勢は大丈夫だろうか」と不安になり、そのプロフェッショナルな語り口、知識量が国際水準のガイドだとすれば、日本はインバウンド獲得の視点からかなり劣勢なのではないかと感じられた。



リバークルーズの最後のランチで海外からの参加者との交流を深められた。韓国・コロンビア・フィンランド・スウェーデン・南アフリカ・イギリス・ブラジル・バミューダ諸島など様々な地域、まさに世界中から集まった参加者。ブラジル政府観光局の女性(サンパウロ出身だが首都ブラジリアに在住とのこと)とずっと話をしたが、ブラジルはあれだけ大きな国でもインバウンドは700万人ほどでその多くがアルゼンチン(200万くらい)で南米諸国が多くアメリカがようやく南米以外では上位に入る程度とのことで、様々な動画を作成し実際スマホで見せてもらったが北米以外からの誘客を強化しているとのこと。アマゾンの先住民族の文化なども訴求しているのが印象的だった。多様な自然、文化、アマゾンやイグアスの滝、リオのカーニバルなどを含めあれだけの世界的知名度のあるコンテンツを持ちながら、大国であるブラジルもインバウンドの誘客に非常に苦心していて、ライバルは「南半球の大きな国、雄大な自然、先住民族文化がある」という類似性から「オーストラリア」だといっていた。北米や欧州からの距離の遠さも共通しており、普段北半球に住む我々からはなかなか想像しづらいがこのような多角的な視点が持てたのも参加した意義があったと思う。



・海外参加者を招いてのウェルカムディナー(Global Membersの歓迎ディナー)

市内イタリア料理店で開催された。こちらはフォーマルなディナーでいろいろな方と話す機会ができた。



初めにDIのグローバル担当のGabriel Seder氏から挨拶があった。DIは北米外のメンバーを重要視しておりその拡大を大きな目標にしている。会食では、アイルランドの政府観光局の方と話したが、ラグビーの大ファンで、日本でのワールドカップの開催後のラグビー人気はどうなっているか、などと質問をうけた。釜石など、W杯のレガシーをきちんと活かしている例を紹介した。

会期中よく話したのはこの2人でバミューダ諸島と南アフリカのKwazulu-Natalというモザンビークとの国境に近い街のDMOの方。バミューダは「英語が公用語でTAX HAVEN(租税回避地)になっていて世界的大企業がたくさん登記している。でも『バミューダトライアングル』のネガティブなイメージに困っている」といっていた。南アフリカは「イギリスやオランダ、アフリカの様々な文化が混じっていて魅力的な食べ物や自然を売り込みたい」と言っていた。



≪7月9日≫

海外からの参加者向けのDIが開いたセッションと私がDIで活動しているSocial Impact Committeeの会合に午前中は参加した。HBCU(歴史的黒人大学)の奨学金をDI財団が出していて、その審査員をしているので、支給が決定した学生と初めてリアルであう貴重な機会となった。

新しく韓国から大田(テジョン)CVBが加入し、コヤン・ソウルに続いて韓国は3CVBが加盟。


いつもはオンラインであうSocial Impact Committeeのみなとリアルであえて、親交を深められた。その場で突然「若い奨学金を受ける学生に向けて、自分の初めのキャリア、いままでのキャリアパス、そして大切にしている価値観を伝えてほしい」と頼まれ、即興でスピーチをした。日本人がいること、英語を母語としない人間がいること自体が多様性をめざすこのcommitteeに重要な要素だと感じた。

またGlobal Member向けにFuturesStudy2025の中身を本セッションの前に公開するコーナーもあり、NextFactorのカサンドラ・マコーリー氏(2月セミナーで来日している)が説明した。今回のFS2025のアンケートには日本から34団体が回答し、国別で米国・カナダに次ぐ3位(コロンビアと同位)となり一定の存在感を示せた。協会職員2名を含む3名が日本人で、公式にFS2025に掲載されて、日本のプレゼンスを示すことはできたと思う。



午後は予約が必要なExpediaセミナーに参加した。
このセミナーで印象的なのは、AI自体はもはやDMOや観光産業で使用するのは当たり前で、それを前提にAI agentをどう活用していくか、実際の活用の事例が議題になっていた。

またExpediaのセッションでは、実は「日本」という単語は何回もだされていて、それは、「マーケット」としての日本が非常に大きなプレゼンスになっているということを意味していた。今注目の行き先11でも日本がでてきて、スポーツツーリズムでも8大マーケットになっており、また、日本のアニメにインスパイアされたいわゆる聖地巡礼で、ONE PIECEのモチーフになった南アフリカ・ケープタウンといった事例が紹介されていた。ただし、JNTOの行うプロモーションの効果、とは直接いいがたいもので、どちらかというと、海外のインフルエンサーなどがSNSで拡大させている「日本」というマーケットという印象を受けた。旅を計画する人が自分で発見し、行程を組んでいるといえるのではないだろうか。

その後会場でウェルカムセレモニー(様々な表彰)、移動してユニークベニュー「OLD POST OFFICE」(郵便局をリノベした建物)でウェルカムパーティーが開催された。


≪7月10日≫

朝のネットワーキング朝食を終えて本格的な正式なオープニングセレモニーとなった。

パワフルなステージパフォーマンスでChicago Super Kidsの歌声で幕を開けた。
会場では今回の参加者が2033人(そのうち初参加593)、また海外からの参加国・地域が27におよんだことが発表された。

日本の存在感を示すためにも参加をすること自体に非常に意義があると感じる。日の丸が数ある国の国旗の中にあると余計そのように感じる。



・D-NEXTセミナー(FS2025)

この日と翌日同じ内容が2回行われるほど人気のセミナーで、DIのCEO・President Don Welsh氏が冒頭あいさつし、続いてNextFactor社のカサンドラ・マコーリー氏がプレゼンをした。会長自らが挨拶し2回とも立ち見がでるほどの盛況ぶりで、FS2025、DestinationNEXTが、いかに業界標準であり、「やっていて当たり前」なものになっているかを思い知らされた。これを理解していないと、世界の観光産業、とくにDMO界隈の人とは「共通の言語」を持っていないような気もしてくる。



・Googleシカゴオフィス

今回特別にGoogleに招待され、夕方からのレセプションに招待された。DMO向けの様々なプログラムをGoogleが仕掛けており、Google Businessへの載せかたなど、Googleをもっとオペレーション上使ってほしいとの目的があり基本DMOのみの正体だが、私と清永氏、WBA丸山氏、TCVB小峰氏で参加できた。また日本のGoogleの方から連絡がもらえるようにメアドもシェアしたので、今後も継続してGoogleとのコネクションをもち、何らかの協力をしていけたらと思う。GoogleとしてDMOのwebsiteにはこんなものをきちんと載せてほしいなどとリストが提示され、非常に有益なセッションだった。



≪7月11日≫

・危機管理の対応

日本でたくさん起こるがアメリカでは近年の山火事の発生、ハリケーン・トルネード被害の多発でDMOの災害対応が大きな話題になっていた。日本はすべて行政任せで、観光危機管理をDMOがやるという感覚はほぼないに等しいが、海外ではDMO「こそ」地域を回復させる役割を担っていると考えられている(風評のコントロールなど)。「日本のDMOが責任をもって危機管理をやるようにするにはどうすればいいか」と質問したらアッシュビルのDMOの方が「行政や地域社会と『対話』をしていくのがまずは大切だ」と言われた。

・Destination Stewardshipに関して

今世界で急速にDMOの役割として期待されるDestination Stewardshipに関する各地の取り組みを扱うセッションがWayfinder社により開催された。やはり基本は「Community Shared Value」に基づくかなくてはならないことが繰り返し言及されていた。地域社会が共有する価値観が「観光地域づくり」の礎であることは世界の常識になりつつあると感じた。このセッション自体も「defining(定義する)」ということ自体がテーマだったように、流動的なものでもあるが、逆にいうと現在進行形で進化しいている概念ともいえる。

Destination Stewardshipはプロモーション・マネジメントよりも大きく

①住民と訪問者の体験を支えて守る
②供給と需要のバランスをとる
③持続可能性のある開発をする
④価値と影響のバランスをとる

ことを機能とする、と定義され、DMOが最初はプロモーション、その次はマネジメント、そしてさらにステュワードシップへと進化してきたと図示されている。そしてStewardshipはさらにその能力を計測、モニター、改善のステップを踏み進展させていくものとの解説があった。

・CLOSING CEREMONY

閉会式ではDIのトップ、CEO・PresidentのDon Welsh氏に声をかけられた。毎年いっており、知り合ってから6年以上になるので顔を覚えてもらっておりいつもよくしてもらっている。このように継続的に「顔」になる人間が出続けることが非常に重要だと思う。また、Social Impact Committeeの長、CSO(Chief Social Impact Officer)のソフィア・ハイダーホック氏もDIのキーパーソンで、私も委員会活動を通じていつも気にかけてもらえており、今回、DIとの絆をより一層深められたと思った。

そして恒例の次回の開催地発表があり、2026年7月のDestinations International年次総会DIAC2026は「アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド」と発表された。


【全体を通して】

今回印象的だったのはDIがより海外からの参加者へのウェルカム感を出していることだった。
3日目にはアジアを意識したランチが供されたり、床にアジアの諸言語も書かれたメッセージがおかれたりと、随所にそれを感じた。それ故により多くの日本の参加者が(協会の職員も含めて)ダイナミックな北米のMICEを体験し、世界の観光産業のエリートたちと交流する機会を持つべきだと思う。
今回よくきいたフレーズは「住民と訪問者をconnect(つなぐ)」というもので、世界の観光地域づくりがより「地域社会」をベースにしていく潮流を感じた。
そして地元DMO「Choose Chicago」のMICEの開催の習熟度の高さも感じられ、世界の一流のDMO・CVBのオペレーションの高度さにも感嘆した。街中、特にコンベンションセンターの周りはDIAC2025のバナーがたくさん飾られていた。そもそもシカゴ・オヘア空港の到着のWELCOMEのボードはオヘア「空港会社とDMO」の名義であり市ではないところがDMOの機能の大きさ・社会的地位の高さを感じた。
このようなことを鑑み、日本観光振興協会として、日本の観光産業のプレゼンスの維持・向上のためにもDIとさらなる関係進展をしていくべきと感じた。

シカゴ・オヘア空港の到着で見かけたボードにはDMOのロゴも
(記:観光とまちづくり・人材育成部 大須賀)