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2025.4.1

【D-NEXT】地域の合意形成を支援
「Destination-NEXTを活用した観光地域診断」
④分析レポート版3地域の調査結果に関するNEXT FACTOR社との意見交換及び3地域合同セミナーの開催報告

公益社団法人日本観光振興協会は、各地域で観光地域づくり(候補)法人(DMO〈Destination Marketing/Management Organization〉)の形成が進展する中、観光地域診断ツール、DestinationNEXT(以下、D-NEXTと記します)を用いた観光地域の現状調査をかづのDMO、山形県小国町、姫路DMOにて主にオンラインで実施しました。



1.調査結果に関するNext Factor社との意見交換

Next Factor社(以下、NF社と記します)が分析した調査結果を確認する為、日本観光振興協会とNF社の2者で意見交換を目的としたZOOMによるミーティングを12月11日と1月10日に開催しました。まず、NF社のディネット氏から、各地域の位置づけは下位の「探検者」との言及がありました。地域によって異なるが、全般的にステークホルダーは異なった認識を持っているとのコメントがありました。また、NF社から、今後の改良点を「観光の強み」、「地域連携」の各々について、2つ程度に絞った上で、海外の先進事例も交えながら提示すると説明がありました。また、ディネット氏から、これまで5年間で日本観光振興協会と共に17か所の日本のDMOにてD-NEXTによる観光地域診断を実施する中で、日本人特有の謙虚さが出て、点数を低くつけがちであるという話がありましたが、今回は世界のDMOとの比較を容易にするために、現状の評価結果を維持することとしました。今回のミーティングを踏まえて、3地域に適したケーススタディを3地域合同セミナーの中で示したいとのことでした。



2.3地域合同セミナーの実施について

(1)実施概要

日本観光振興協会とNext Factor社の共催
2025年2月28日(金)
9:30~12:30
会場 コモレ四谷
参加人数 11名(会場)+オンライン15名

当日のスケジュール


9:30~9:35 主催者挨拶 公益社団法人日本観光振興協会 理事長 最明 仁
9:35~10:05 NF社プレゼンテーション
CEO Cassandra McAuley氏
D-NEXT概要と世界のD-NEXT活用事例
10:05~10:40 結果発表およびNF社からのコメント
・株式会社かづの観光物産公社 DMO推進室 主任 佐藤未奈 氏
10:40~10:50 休憩
10:50~12:00 結果発表 ・山形県小国町 産業振興課 主査 遠藤 愛 氏
       ・公益社団法人姫路観光コンベンションビューロー ディレクター
清永 治慶 氏
12:05~12:10 全体講評 クリーブランドDMO ITディレクター Jim Ganotis 氏
12:10~12:25 全体質疑応答
12:25~12:30 閉会挨拶 公益社団法人日本観光振興協会 常務理事 檜垣 克己

(3)D-NEXTの概要と世界のケーススタディの紹介

NF社のカサンドラ氏より、D-NEXTの概要と17か所の実施地域の位置づけを4象限の中で示すと共に、D-NEXTの調査結果を活用した世界のケーススタディを項目別に説明いただき、日本観光振興協会が手配した通訳者が逐次通訳する形で進行を行いました。ケーススタディは主にオランダの宿泊税による財源確保やニュージーランドの地域連携、イタリアの食をフックにした本物の体験、テキサスのDMOが大学と連携して観光のキャリアを紹介し、人材確保を促進したといった幅ひろい事例がNF社から紹介された。


(4)各地域・DMO担当者からの発表

かづのDMO
【アウトドア体験】
・地域特有の本物の体験を提供しているという評価は高いものの、多くのみるべき観光スポットや体験があることで知られているという質問では低評価となったので、改善の余地がある。
【働き手の確保】
・マネジメントレベルの十分な労働力や現場レベルの十分な労働力の数値が低いことに関連して、各事業者の稼働率低下が既に発生している状態だ。(宿泊施設では満室にせず6〜7割しか受け入れしない/休業日を設ける)


小国町産業振興課
【アウトドア体験】
・D-NEXTの結果を共有して連携体制(受け入れ体制)の強化を図りたい。「1年を通してアウトドア体験を提供している」が低い。観光資源はあるので、活用方法について、ステークホルダーと協議したい。
【働き手の確保】
・「現場の業務に従事する十分な労働力がある」が低いので、働き手の確保に向けて、観光地としての認知度を向上させたい。


姫路DMO
【飲み物・買い物・エンターテイメント】
・姫路城を軸としてMICEによる国際会議を突破口に、飲食・買い物・エンターテイメントを体験してもらい、宿泊につなげ、宿泊の投資につなげることが強みを深めるゴールと思っている。宿泊の多様なニーズをとらえるための事例を知り、どのようにしたら宿泊投資が増えていくのかをStudyしたい。
【経済発展】
・重要度に対しての評価が低い主要目標である経済発展と、その基本となるおもてなし文化を採用したい。経済発展を基準に、観光産業の支持や協力関係を作っていきたい。


(5)D-NEXT実施地域のポジション

カサンドラ氏から、過去5年間にわたって日本観光振興協会にて実施した17か所はすべて、探検家の位置にあるが、回答者が日本人である場合、文化的バイアスの影響で、他国に比べて低いスコアをつけがちであるとのコメントがありました。世界400の地域と比較しても、明らかに勝っている点が多くみられるので、自信を持って欲しいとのコメントがありました。


(6)世界の先進事例と提案について

NF社からは、今後各DMOが「観光の強み」や「地域の連携」を改善するために、取り組むべき課題と、それに関連した世界の先進事例が紹介されましたので、以下にてご確認ください。


① かづのDMO

●アウトドア体験~例【エドモントン、カナダ】


●人材育成~例【メンフィス、テネシー州、USA】


② 小国町産業振興課

●アウトドア体験~例【マディソン、ウィスコンシン州、USA】


●人材育成~例【メサ、アリゾナ州、USA】


③ 姫路DMO

●飲食・買い物・エンターテインメント、シックス・ストリート~例【オースティン、テキサス州、USA】


●経済振興、エジンバラ城~例【エジンバラ、スコットランド】


3地域合同セミナーでは、当該調査を実施したアメリカの観光地域コンサルティング会社であるNF社のCEO、カサンドラ氏からD-NEXTの概要と世界の活用事例について言及がありました。各DMOからD-NEXTの調査結果を受けて、地域の強みや連携についての課題感が共有されました。また、これまで400以上の世界のDMOのコンサルティングを実施した経験を活かして、カサンドラ氏からそれらの課題に沿ったケーススタディや戦略が提案されました。


(7)当協会からのコメント

・NF社のカサンドラ氏からD-NEXT概要とD-NEXTの調査結果を活用した世界のケーススタディについて説明があった。

・各々のDMOの課題に合わせたケーススタディが示されて、各DMOは課題解決の大きなヒントを得られたと思われる。人材育成といったDMO共通の課題もあれば、他産業が発展しているがゆえに、観光産業に対する意識が高くないという問題点が指摘された。地域に観光産業の重要性を理解して頂くことも重要な要素となる。


(8)3地域合同ウエビナー会場の様子