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2025.4.1

DMO観光地域づくりセミナー

2025年2月27日、海外からのDMO実務家を招聘し「DMO観光地域づくりセミナー~海外の専門家から学ぶ最新の観光潮流とデータ戦略~」を東京四谷のコモレ四谷タワーコンファレンスで開催した。



【NextFactor社カサンドラ・マコーリー氏】

3回目になる本セミナー、今回は世界400地域で用いられる観光地診断ツールDestinaitonNEXTを開発したNextFactor社最高経営責任者、カサンドラ・マコーリー氏がカナダから来日した。コロナ後の観光トレンドを読み解いたFuturesStudy(FS)2023から2年、世界的なDMO統括団体であるDestination Interanational(DI)ではFS2025の議論が始まっており、DMOにどのような未来が予測されているか、DIでの様々な議論から先行して解説した。世界の観光産業の実務専門家が考えるこれからのDMOのなすべきこと(DMO Mandate)、DMOに求められる役割(統治(Governance)・技術(Technology)・財源(Finance)・人材育成(Professional Development))、設定すべきKPIが示された。



【デスティネーションクリーブランド ジム・ギャノティス氏】

また北米DMOデスティネーションクリーブランド・クリーブランド都市圏スポーツコミッション現役職員、ジム・ギャノティス氏がデータ戦略のリアルを語った。北米の先進的なDMOが地域と向き合い、データによる観光地経営が地域社会にまったく理解されておらず意欲も低かった時代(Data Disengaged)から出発し、強固な地域社会との連携を築き、データが資産であり第一な社会(Data Driven)にしていく道のりは、観光DXを推進している多くの日本のDMOの模範になるものだった。またデータの種類をきちんとカテゴリー(事業者(Partner)・消費者 (Consumer)・コンベンション(Convention)・生活、就労(Live/Work))に分けて収集分析する体制は非常に整然としており、データ収集の目的がはっきりとしていたのも印象的だった。リポートの詳細さはもちろんのこと、わかりやすいダッシュボードをDMOが整備し公開、地域のステークホルダーを集めての会議体を体系的に組み立て定期開催する取り組みは、合意形成が常に課題になる日本の現状にとって非常に参考になるものだった。



【トークセッション・ディスカッション 清水哲夫教授】

またジム・ギャノティス氏のプレゼンテーションのあとには東京都立大学観光科学科教授、清水哲夫先生とのトークセッション・ディスカッションが設けられ、学識者としての鋭い視点で議論が進んだ。データの専門家ではない地域のステールホルダーとどのような対話をしているか、対話の際に特別に工夫していることがあるのかといったことが語られた。また60人を超える職員をもつデスティネーションクリーブランドのデータ部門の体制と日本のDMOが比較的小規模なものが多い現状を比較しての日本の課題が話し合われた。そしてプレゼンテーションで示された「Data Driven」な社会に向けっていくためのの今後の課題をAIとの関係性を含めて議論がされた。



【鴨川観光プラットフォーム 嶋津彰一氏】

続いて、昨年度のDestinationNEXT実施地域の千葉県鴨川市の地域DMO鴨川観光プラットフォーム嶋津彰一氏から、「D-NEXT実施地域による活用例紹介」のプレゼンテーションがあった。D-NEXTの実施結果から抽出された課題をもとに数々の施策を展開している実例を解説した。参加者からも「地域DMOの抱える課題に共感を覚える」との声も多かった。



今回参加者は会場参加が50名近く、オンライン参加では60名以上が参加し、この分野での関心の高さがうかがえた。また、初めて同時通訳での開催となった。それまでの逐次通訳よりも登壇者の発表や参加者からの質疑応答により多くの時間が使えるようになり、同じ長さの時間での開催ながら密度か非常に高いセミナーになった。会場参加者、オンライン参加者とも、各自のスマートフォン・タブレットからSLIDO(インタラクティブに質疑応答や投票ができるシステム)を使用したくさんの質問を登壇者に投げかけていて、会議の進行も終始非常に活発なやりとりがあり、大変有意義なものとなった。