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 NEWS

2021.03.31

【D-NEXT】地域の合意形成を支援
「Destination-NEXTを活用した観光地域診断」
⑦佐渡DMOにおける調査結果に関するNEXT FACTOR社との意見交換及びワークショップ2の開催報告


 佐渡観光交流機構(以下、「佐渡DMO」と記します)はワークショップ1で実施したアンケート調査結果を踏まえ、NEXT FACTOR社との意見交換を行いました。
 また、地域内の観光関連事業者様のみならず、他産業の事業者や各市町行政機関を含めた、幅広いステークホルダーに対して、ワークショップ1の結果を共有することを目的としてワークショップ2を実施いたしました。以下、詳細内容について、ご確認ください。

■ 調査結果に関するNF社との意見交換
 NEXT FACTOR社から送られてきた調査結果内容を確認する為、佐渡DMOはNEXT Factor社・日本観光振興協会の3者でZOOMによるミーティングを開催しました。
 最初に、NEXT FACTOR社のポール氏より調査結果について簡単に説明があり、佐渡は観光地域として「探検者」の位置づけとなり、これまで調査を行ってきた世界の地域と比べると少し低い位置づけとなる。しかしながら、Next Factor社の250地域以上に渡る調査結果によると、40%の地域が「先駆者」、同様に40%が「探検者」の事象に位置づけられるため、落胆する必要はないとのことでした。
 また、様々な変数の中で、焦点を当てるべき内容としては、以下の項目があるとアドバイスをいただきました。
・ アトラクション
・ イベント
・ 宿泊
・ Wifi等のインフラ
・ 政策と規制環境⇒DMOは地域の資源に目を向けてもらう等の施策が必要
・ ガバナンス⇒国によって異なるため、一般的なモデルの範囲で留めておくとよい。
・ おもてなし文化
・ 財源⇒どこの国や地域においても問題となっている。

■ ワークショップ2の実施概要について

実施日 2021年3月5日9:30~11:30
会場

あいぽーと佐渡

参加人数

34名



■ ワークショップ2の全体スケジュールについて
 1. DMOから開会挨拶、D-Nextの概要及び実施に至った経緯の説明
 2. NF社・ポール氏から「Future Study(観光動向研究)」について英語で説明、佐渡DMOが逐次通訳
 3. アンケート調査結果の報告を佐渡DMOが日本語で行い、ポール氏より英語でコメントを頂き、逐次通訳
  ① 観光地域としての強みについて(Destination Strength)
  ② 地域における協力関係について(Community Alignment)
 4. 休憩
 5. NF社への質疑応答
 6. DMOから閉会挨拶

■ ワークショップ2の具体的内容
 1. 佐渡の観光の現状とD-NEXT事業実施の目的について
 まず、佐渡観光交流機構の理事長を務める本間氏より開会のご挨拶をいただき、次に常務理事を務める加藤氏より、多様な資源を活用する効果的な方策が打ち出せていない佐渡観光の現状について説明しました。その後、新たな観光施策やSDG’sを推進するためには合意形成が重要となってくることを述べ、今回D-NEXTを実施して得た結果から地域関係者の意識の相違を明らかにし、合意形成促進に向けた確証を得て、今後の佐渡の観光事業計画策定に活かすことを参加者に説明しました。
 また、本事業は日本観光振興協会の支援のもと、実施をしている旨を伝えました。

 2. 「Future Study(観光動向研究)」について
 NF社のポール氏より、D-NEXTを導入することで、世界の観光トレンドと戦略を分析した「Future Study(観光動向研究)」を加味した「シナリオモデル」を導き出し、世界の観光動向を踏まえた改良点を見つけることが可能となることを説明いただき、佐渡観光交流機構の担当者が逐次通訳する形で進行しました。
 「Future Study(観光動向研究)」は米国DMO統括団体であるDestinations Internationalが、観光地域の組織における重要な観光最新動向と戦略について、2014年、2017年、2019年と調査を実施し、2021年には新たに研究結果を発表する予定です。これまでに世界の55か国・520の地域及び観光事業者へアンケート調査を行い、検討すべき52の観光トレンドと64の戦略を特定しました。これらの研究から、全ての地域のDMOにおいて、①観光地の管理・監督、②地域関係者との連携、③デジタル化への対応の3点に留意することが、より良い観光地となる為の条件となると定めました。
 「シナリオモデル」は観光地としての強さと地域連携の度合いを評価する指標で、地域を以下の4象限に分類することができます。この結果により、自分たちの地域がどのモデルに該当するか、客観的に診断・評価することができます。
シナリオモデル

 3. D-NEXTを活用したアンケート調査結果の報告
 アンケート調査結果の報告については、日本の参加者のことを考慮して、NF社からの英語による解説を逐次通訳で進行するのではなく、前もってNF社から各調査項目の結果に対する解説をして頂きました。その内容を加味して、最初に佐渡観光交流機構の担当者から調査結果を日本語で発表して、参加者に調査結果を理解頂きました。次にポール氏から、佐渡がより良い観光地となる為のヒントとなる以下の統括のコメントをいただき、通訳を行いました。
 佐渡は4象限の左下「探検者」に分類され、改善が必要な観光地という結果でしたが、世界全体の約40%の観光地が「探検者」に分類されます。アンケート調査結果を見ると、全体的に低い評価となっているが、地域との連携が比較的、良い評価となっているため、行政や様々な産業のサポートを受けながら、今回の調査結果からあぶりだされた改善点を、マスタープランに落とし込むことが重要であるとのことでした。
 また、佐渡ならではの地域文化や歴史に根差した象徴的なコンテンツを作り磨き上げて、本物の体験をしてもらうとともに、長期滞在の為の週間レンタル出来るような宿泊施設の設置を促進し、既存の宿泊施設を整備することが重要であるとアドバイスいただきました。

 4. 参加者からの質疑応答
 Q.地域内で誰がリーダーシップをとって施策を進めていくべきか。
 A.行政、DMOが地域住民や様々な事業者を巻き込み、議論しながら決めていくことが良い。

 Q.観光地として象徴的なコンテンツを作り、成功した事例があれば教えてほしい。
 A.アトランタで博物館や会議施設を作った事例があるが、資金が必要であり難しいため、プロジェクションマッピング等を用いて体験プランやイベントを魅力的なコンテンツに磨き上げるのはどうか。事例としてはシドニーやモントリオールがあり、長期的なイベントにすることが効果的である。佐渡には寺院が多いため活用できれば良い。(NF社からモントリオールの事例をビデオで紹介)
  Aura - https://youtu.be/Ru2Ayt-hQD8
  Memoire - https://youtu.be/HVvbEuX3D24
  Six Forgotten Giants - https://youtu.be/zflcGzK187Y

 Q.「先駆者」に位置付けられる観光地は国内外でどこの地域があるか。
 A.シドニー、ニューヨーク、東京、カリフォルニア、バンクーバーなどがある。魅力的なアトラクションや宿泊施設、サービスが整備されている観光地が多く位置付けられる。

 Q.佐渡では調査結果からみた強みをさらに伸ばしていくか、弱みを改善するかどちらを優先するべきか。
 A.どちらも優先すべきだが、特に宿泊施設の整備及び佐渡ならではの体験プランやイベントを磨き上げることを優先するべきである。

 Q.地域の事業者が活躍できる観光地に向けて、行政がすべきことは何か。
 A.インフラ・交通アクセス整備、戦略立案、地域内の区画整備、資金のサポートが必要である。

 5. ワークショップ2会場の様子

会場の様子

会場の様子


■ ワークショップ2終了後の佐渡DMOからのコメント
 今回の調査結果はほぼ想定通りでした。また、佐渡が都心型の観光地である東京やニューヨークを目指すことは難しいが、行政やステークホルダーと今回の結果を共有し議論することで、佐渡が目指すべきゴールを設定し、5か年計画を策定できればと考えています。佐渡の4地域それぞれで象徴的なコンテンツが異なるため、佐渡として何を象徴的なコンテンツとして磨き上げていくか議論する必要があります。
 島内への交通アクセスは飛行機がなく、船しかないため、船旅も非日常の体験として、有効活用したコンテンツが作れると良いと思いました。また、旅前から、待合室や船内等でプロジェクションマッピング等を利用し、佐渡のイメージを高めて、島内への誘致を図れないか考えていきます。
 今後、4月以降の施策にどう落とし込んでいくかについては日観振と情報共有をしていきます。
 また、5年後を目安に再度D-NEXTによる観光地域診断を実施して、状況変化を把握することも考えていきたいと思います。

■ 日観振からのコメント
 ワークショップには行政や商工会、飲食事業者、宿泊事業者など幅広く参加していただき、全体的にスムーズに進行しました。また、参加者の方から積極的に質問があり、多くの方々がメモを取りながら、熱心に傾聴している姿が印象的でした。地域内のステークホルダーの方々に佐渡の現状と自身の考えとのギャップを認識してもらう良い機会となったと考えられます。
 調査をすることがゴールではなく、調査結果から今後の施策にどのように活かしていくかが一番重要なポイントであるため、D-NEXTの有効活用を探る上でも、今後とも佐渡DMOと連携しながら、アンケート調査結果の活用方法を理解し、今後、D-NEXT導入を目指す地域のモデルとなるようサポートしていきたいと思います。