2026.02.16
海外のDMO情報 海外DMOなう②
【コラム】DMO 海外なう 第 2 回 DMO の従業員に自信を持たせるには?
Destinations International のマイクロコースのリーダーシップシリーズ「自信のギャップを乗り越えてチームを導くには」について概要を解説します。
一般社団法人 日本観光振興協会
観光地域づくり・人材育成部
部長
大須賀信
Destinations Internationalのウェビナーでは、Leadership Seriesと称して、組織マネジメント、特に職員のモチベーションをどう向上させるかというテーマで、様々な講座が開講されている。日本国内でDMOに特化したこの手のセミナーはあまり見ないので、その一部を紹介したい。
今回は、特にDMOの職員が仕事に対して持つ「自信」についてだ。北米のDMOでは、「職員こそブランド価値」という考え方が浸透しており、職員が最高のパフォーマンスをあげれば、DMOがなすべき仕事が最大化・最適化され、結果地域のブランド力が上がり、地域経済にとってプラスになるということだ。
そんな中、目を引いたのが、「とても貢献しているスター職員の見えない葛藤」という内容だった。過剰ともいえる高い実績、満足していると思われる様子の陰で、すさまじい内なるプレッシャーを感じている可能性がある、というものだ。「自分でやった方が簡単だ。他人に任せたくない」「秀でた結果を出させないならば新しいことへの挑戦はやめてしまおう」「完璧を追求するあまりの深夜までの残業や作りこみすぎの資料作成」「賞賛されるのを嫌がり、自分の成功をたまたまの運のおかげだという」「人前に出たり、公に認識されたりすることに抵抗する」という兆候を、リーダーは見逃してはいけない。組織の回復性をむしばみ、燃え尽き症候群を加速させる。特にDMOの職員は、「地域を代表して声をあげる」ことと「組織の代表として声をあげる」ことの両方を同時に同一人物が求められ、通常の企業体よりも構造的により大きなプレッシャーをかけられ、2つのマネジメント対象(地域OR組織)の板挟みになりやすい。
そんなスター職員に自信を持たせるにはリーダー側も次のような振る舞いが求められる。「『自分もこんな風に大変な面をして学んだこともある』というような、聞いて安心できる弱さをあえて出す」「フィードバックや重要なことを繰り返し述べることを標準化する」「結果だけでなく、好奇心を賞賛する」「間違えに対して、責め立てるのではなく、どうしてそうなったのか、と関心を寄せる態度を持つ」などだ。
組織として、職員に「安心感」を持ってもらう環境を整えていくことをリーダーの重要な役割としていくことが求められる。「安心感は叱咤激励からは生まれない。組織構造・明白性・日々のリーダーのレスポンスから生まれる」とされている。
(1)個々人が価値観や能力を信じて「自信」を持てる(2)何を話しても、テストしても、前向きに失敗しても大丈夫だと感じられる「安心感」を感じられる(3)その安心感が創造性、協力、イニシアティブを促進する「貢献」できる環境(4)そのような環境が整えられているから、従業員が信頼され、きちんと見てもらえていると感じてチームとし組織に貢献し忠実になれる「離職率の低い」状態が保たれる。このような組織にとって健全なサイクルが生まれることになると説かれていた。
アメリカ人が好きなよくあるフレームワークに見えてしまうかもしれないが、日本のDMOに全く無関係なことだろうか。
日本のDMOでよくあることだが、地域にふさわしい人材が乏しく、CMOや事務局長などを募集し、東京をはじめをとした都市部から、輝かしい実績・経歴を持ったスター人材が首尾よく着任することが往々にしてある。ところが、様々な理由で、その土地では破格の待遇でも、去っていくケースも数多い。受け入れ側が安易に「この人ならなんとかなる」と考え、何でもその人任せにして、結果、本人にかかる重圧や地域社会との軋轢で辞めざるを得ないケースもあるのではないだろうか。
そんな中、受け入れ側、具体的には地元出身の専務理事などがこの記事でいう「リーダー」として、外から来たスター人材のケアをしていくことも求められていくと思う。そのような人材が「自信」も持てているか、今一度自分の地域や組織で見直してみる必要があると思う。




