第9回目のDMO研究会は、日本版DMO実践例の第3弾として、公益財団法人佐世保観光コンベンション協会企画推進課長の中島大幸氏に、
ハウステンボスや九十九島パールシーリゾートなど大規模集客施設や豊富な観光資源を有する佐世保地域において、佐世保観光コンベンション協会を
プラットフォームとした「佐世保・小値賀観光圏」として認定されるまでどのような経緯を辿ったのか、
また地域内でDMO的機能を導入するにあたり、観光協会業務をどのように整理したのか、お話しいただきました。
※資料等も含めた会議録のダウンロードPDFファイル
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講師の中島大幸氏 |
▼佐世保・小値賀「海風の国」観光圏
元々佐世保市は、隣接する西海市や平戸市と観光圏を形成していましたが、平成25年からの新観光圏認定には、観光地域づくりプラットフォームを構えること、
観光地域づくりマネージャーを認定することが新要件となり、地域にとって大変ハードルが高くなったため、協議の結果、2市との観光圏での連携を解消し、
平成25年4月、小値賀町と新たに連携協議を開始して、佐世保・小値賀「海風の国」観光圏としてスタートしました。
▼「海風の国」観光圏ブランドコンセプト
その後、小値賀町とのブランドコンセプトの構築には1年もの歳月を費やしましたが、この1年間で練り上げたコンセプトがあらゆる事業の原点、根っこになっており、
圏内全11エリアで構成されるそれぞれの特性は、この原点から派生して生まれ出たもので、どうやって一体的に売り出していくのか、ということに結びついています。
また、佐世保の美しい景観と豊かな自然環境、また古くから伝わる歴史や文化など地域の魅力的な素材を活かすため、この地域を「海風の国 暮らし育む海舞台」と呼び、
ここを訪れる人々に「浦々の四季で迎える西海物語」を提案しています。
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▼観光圏推進体制
(公財)佐世保観光コンベンション協会は、平成25年4月から「海風の国」佐世保・小値賀観光圏の観光地域づくりプラットフォームの機能を担い、
佐世保市長、小値賀町長、佐世保観光協会コンベンション協会理事長、おぢかアイランドツーリズム協会理事長の4名を構成員とする観光圏推進協議会(最高意思決定機関)を
頂点とした体制を組み、事業実施に際して、この4名と相互に連携をとり合いながら、観光圏推進体制を組んでいます。
また、観光地域づくりプラットフォームとして、佐世保観光協会コンベンション協会が将来「日本の顔」となる機能として、マーケティング、プロモーション、旅行業等の専門性、
地域づくりなどが求められ、それには継続的かつ計画的な事業実施体制が不可欠となることから、協会内部の体制強化も課題としています。
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▼「いま」やるべきこと
現在、観光圏のブランドを磨き上げる事業を推進していますが、中島氏は、いまやるべきこととして、収益性の高い事業である、
九十九島などの観光名所や自衛隊や米海軍の艦船が停泊する佐世保港などを約1時間で巡る「SASEBOクルーズバス“海風」の
定期運行(1日5便)、佐世保港整備に伴う大型クルーズ客船の受入れの拡充による観光収入を増やすことによる協会の自主財源の確保を挙げられました。
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▼「これから」やるべきこと(日本版DMO)
近年、個人観光客や外国人観光客が増加し、観光客の多様化したニーズに柔軟に対応していくためには、行政・民間、そして観光に関係のなかった人や
組織も巻き込んで地域全体で観光客を受け入れていく体制を構築する必要性が出てきました。それがDMOで、お客さまへの一元的窓口をつくりワンストップサービスを行い、
エリア全体のブランディングを図りながら、お客様に情報発信・商品販売していく(マーケティング機能)とともに、エリア内では業種間の垣根を超えて、
官民を超えてまとまることで、相乗効果で成果を上げて地域経済を活性化していく(マネジメント機能)を目指しています。また、観光事業者のみならず、
生産者団体や市民活動団体も含めて佐世保観光コンベンション協会賛助会員として一体として事業に取り組んでいます。
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▼プラットフォームとして「これから」やるべきこと
(公財)佐世保観光コンベンション協会では、具体的に観光地域づくり実施基本方針の策定、マーケティング調査・分析・実施基本計画の改善、来訪客に対するワンストップ窓口づくり、
誘客・集客の促進地域づくりプラットフォームに求められる機能強化に取り組んでいて、まずは、観光地域づくり及びブランド観光地化に関係する事業者、団体等を賛助会員として取り込み、
組織の利益として、一体となって事業推進を図ることを目標としています。
具体的には、新規の事業者、団体に対する賛助会員化の推進。またプラットフォームのなかで課題解決のための取り組みへの参画、また全体に関する課題解決のために事業や分野の課題解決を推進します。
▼今後の課題とその対策について
幅広い分野の事業者、団体から協会へ参画していただくため引き続き地道に事業への理解・協力を求めたり、必要に応じて関係機関に支援を求めたりすることが大切であると思っています。
また、人的支援、各種事業環境整備のための支援のため、引き続き行政と連携も深めていきます。
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