産業観光の活用の経緯と現状

栃木県益子町では、伝統工芸品である「益子焼」を軸に、地域観光を展開している。益子陶器市実行委員会では年2回陶器市を開催しており、毎回数十万人もの人が訪れ、地域に大きな経済効果をもたらしている。この陶器市では、約500の作家テントが立ち並び、直接作家たちと話す機会が得られるという特徴がある。平成29年の秋に陶器市は100回目を迎え、それに際して新たに運営委員会が組織され、お客様へのおもてなしについて検討し、交通対策や情報提供、記念グッズの販売などの取組がなされた。これらの取組は100回目以降も継続的に実施されており、出店者同士の連帯感が生まれ、協力体制の構築へとつながっている。
通年では、町内15箇所でロクロ、手びねり、絵付けといった陶芸体験が楽しめる他、登り窯の見学もできる。また、益子陶芸美術館では、益子焼の歴史や国内外の優れた現代陶芸を積極的に紹介しており、益子参考館では、人間国宝濱田庄司氏の蒐集した工芸品等が見学できる。さらに、益子国際工芸交流館では世界各国の代表作家や若手作家の交流事業を開催し、作品創作や人材育成にも努めている。
益子町ではこの他、イチゴやそばといった地域資源を活用したイベントを数多く開催しており、そうしたイベント来場者がまちを散策する中で、益子焼に触れる機会を提供し、より充実度の高い旅になるように工夫している。平成28年には、道の駅ましこがオープンし、観光案内の連携により観光客の回遊も図られている。町内のカフェでは益子焼が食器として使われているところも多く、案内マップなどの造成により回遊の幅を広げている。

評価

・益子焼をはじめとする高い資源力を総合的に編集して事業化している点が高く評価できる。陶器市には100回を超える事業実施の実績があり、来訪者が多いこともすばらしい。
・伝統産業である益子焼を活かし、イベントに地場の地域資源を組み合わせた取組も図られ、工夫が見られる。今後は、日本全国そして海外での更なる知名度UPに向けた取組が期待される。
・直接作家と話す機会創出、インターネット等を通じた海外発信、農業・農家との連携、笠間も入れた広域連携も高く評価できる。また、道の駅と連携し、地域内の周遊を図っている点が評価できる。

  • <益子陶器市>

  • <益子焼の器で楽しめるカフェ>