産業観光の活用の経緯と現状

平成16年に日本で初めて実際に使用している海女小屋を開放し、現役海女が米国のお客様をもてなしたことがきっかけとなり、「海女小屋はちまんかまど」での体験サービスが始まった。何十年もの間、海と海女小屋を行き来していた海女たちにとって、命がけで採ってきた海の幸や手作りの米などを、来訪客が目の前でおいしそうに食べ、楽しんでいる姿を見るのはとても新鮮であり、幸せを感じる瞬間であった。この海女たちの楽しげな様子がお客様にも伝わり、素朴な笑顔でもてなす高齢の海女たちの頑張りに感動され、「海女さんからパワーを貰った。私もがんばります!」と御礼の手紙や写真がたくさん寄せられている。海女小屋では、食事の他に、現役海女による海女漁と日々の生活についての語り、地元の踊り披露、そして外国人観光客に人気の海女着体験などが行われている。伊勢志摩ではエコツーリズムの観点等から優れた海女小屋が多くある中で、「海女小屋はちまんかまど」はとりわけ先駆的な役割を果たしている。「海女」を観光商品として誘客する取組が生まれ、地域の観光産業を牽引するとともに、後継者不足に悩む「海女文化」を守り育てる機運も高まっている。「海女小屋はちまんかまど」では、ユニバーサルツーリズムな海女小屋として様々な受入環境を整え、顧客満足度を高めたことにより、外国人観光客も増加している。平成29年には全体で2万人、9千人を超える外国人観光客が訪れている。漁業と観光を融合させることで、海女文化の承継をめざし、これからも更なる地域活性化に取り組んでいく。

評価

・3000年の歴史がある「海女文化」を観光資源とした取組は評価が高い。日本ならではの「海女文化」と触れ合える事は、特に訪日旅行者へのインパクトが強く、大きな成果を上げている。先駆的取組として既に有名ではあるが、独自性も高く、強みを活かした素晴らしい取組がなされている。地域の総合的な観光発展を先導するような今後の中・長期的な取組に期待する。
・「海女文化」と観光を見事に融合させている。ものづくりの現場と消費者がつながることにより相乗効果を生み出す好事例である。海外プロモーションやムスリム対策、Wi-Fiやバリアフリー化等のインバウンド環境整備にもいち早く注力し成果をあげている。また、観光客受入れが、海女さんのモチベーション向上など、担い手の確保にも繋がっている点が評価できる。昇龍道プロジェクトをはじめとした地域連携のみならず、「海女文化」を通じたより幅広い連携にもさらに期待するところである。

  • <海女着体験(ロシアからのお客様)>

  • <車椅子リフト付き福祉車両「海女ばす」>