年頭所感:公益社団法人日本観光振興協会 会長 山口 範雄

  1. 年頭所感:公益社団法人日本観光振興協会 会長 山口 範雄

2018年01月05日

提言・広報

謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 
 昨年は、引き続き訪日外国人旅行者数が堅調な伸びをみせる一方、国内旅行は微増という状況でした。2020年のインバウンド目標4,000万人に向けて順調に推移しているなか、受け入れ面に関わる法改正も行われ、民泊新法(住宅宿泊事業法)、改正通訳案内士法、旅行業法が成立しました。あらゆる面で変換点となった年であると言えます。
マーケットにおいても、2月より働き方改革、消費活性化を促す動きとして、「プレミアムフライデー」がスタートし、観光を取り巻く環境も変わりつつあります。近年の動きで見ても、LCCが海外旅行、国内旅行を後押しする交通手段として定着しました。また。観光列車の人気は、移動手段そのものが旅の目的に変わったことによるものであり、「モノ消費」から「コト消費」へ、需要サイドの変化への対応がますます重要になった年でありました。
 昨年も、7月の九州北部豪雨、10月の新燃岳噴火と九州地方で災害が起き、大規模な宿泊キャンセル等の打撃を受けました。東日本大震災、熊本地震では、観光が地域の復興に大きな役割を果たしてきましたが、こうした復興に貢献する観光の力を改めて学ぶことが大切であると感じました。
 本年は、「ラグビーワールドカップ2019」「2020年 東京オリンピック・パラリンピック」、またその先を見据えるにあたり、準備の年であると思います。これからのインバウンドの拡大は、例えば、宿泊や2次交通の各論の課題に対し、具体的に、仮説を立てながら対応していく必要があります。また、インバウンドの大半を占めるアジアからの需要に対し、リピーター獲得策を講じると同時に、欧米豪からの誘客拡大を促進するなど、グローバルな状況を踏まえて観光を考える年にしなければなりません。
 当協会は、こうした変化に対応すべく昨年までの成果を踏まえ、引き続き取り組みを強化してまいります。「人材育成」においては、「日本観光振興アカデミー」による研修プログラムを整備し、マネジメント、マーケティング講座など、基礎編から応用編へと充実を図ります。「観光地域づくり」においては、更なるDMOの深度化を進めて行くにあたり、DMOに取り組む地域と関連企業のミーティングや、ビジネスマッチング、産学官による観光経営研究会の開催などの場を提供し、相互間連携による新たなビジネス機会の創出・事業展開につなげて行きたいと考えます。そして、ツーリズムEXPOジャパン、日台観光サミット等により、更なる双方向交流の促進を図っていきます。ツーリズムEXPOジャパンにおいては、昨年に引き続きBtoB機能を強化することにより、地域とあらゆる産業との交流の機会を拡大していきます。また、国連世界観光機関(UNWTO)や世界旅行観光協議会(WTTC)とも引き続き連携し、双方向交流の活性化を図ってまいります。こうした活動を通じて、観光の国民運動化を引き続き目指してまいります。
 当協会では、本年もオールジャパン体制でさまざまな観光振興事業を効果的かつ積極的に推進して参りたいと考えておりますので、皆様のご理解とご支援をお願い申しあげます。
 本年が会員をはじめとする皆さまにとりまして大きな飛躍の年となりますことを祈念して、新春のご挨拶とさせていただきます。