令和2年度事業計画について

  1. 令和2年度事業計画について

2020年05月01日

提言・広報

■はじめに
 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、罹患された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 今般の感染症の状況は当協会活動、事業運営にも影響が生じており、会員をはじめ関係各所の皆さまにおかれましては、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
さて、令和2年4月7日、政府より新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出されたことに伴い、 国民の生命を守るためには、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会機能を維持することが重要であるとの認識から、各種活動が自粛されているところであります。そうした中において、残念ながら観光業界においても危機的状況であり、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延によって、壊滅的状況に陥っております。したがって、
●当面は、収束に向けて国民の一員としての行動が求められるとともに、国の緊急融資、雇用調整助成金などの活用により観光の諸リソースを収束後にまで維持するよう努めなければならない状況であること。
●収束が見えてきた場合、国(観光庁など)の講ずる国内観光を中心としたV字回復キャンペーンなど、国、民間、地域が一体となって取り組む状況になると考えられ、その観点からの当協会の役割が増大すると見込んでいること。

などの観点から、令和2年度の事業計画については、現時点では継続事業などの一部を除き一時保留とし、状況に応じて対応することになります。
 現在、この状況下の中で何ができるのか、あるいは今後の状況を注視しつつ、少しでも早く、安全に、観光復興に向けた活動を検討しており、収束後早急に事業展開できるように取り組んでまいりますので、ご理解をいただけますようお願い申し上げます。
 なお、今後の状況については、随時ホームページ及びメールマガジンなどでお知らせいたします。

■令和2年度事業計画の概要
 
令和2年3月3日(火)に開催された第175回理事会において、「令和2年度事業計画(案)」が審議され、承認されました。令和2年度事業計画では地域の観光魅力の向上、観光産業の強化が求められている中で、当協会として、さらなる国内外の観光に対する期待に応えていくため、4つの活動を柱に各種事業を展開します。概要は以下のとおりです。
 
1.価値創造とイノベーションの追求
 当協会が掲げる理念を追求し、目標を達成するため、自治体や観光関連産業など幅広い産業の団体・企業とともに、観光に関する諸課題について意見交換及び情報交換を行い、新たな価値創造に取り組むほか、魅力ある観光地域づくりを推進するため、地域と連携したモデル事業やDMOの現状と課題抽出、DMOの機能向上を目指すためのプログラム開発に取り組む。また、観光産業の生産性向上の支援として、国内外旅行者の宿泊予約・実績データや宿泊客の属性データをマーケティングデータとして利用可能とする「観光予報プラットフォーム」を整備し、各地域のDMO機能向上を支援する。その他、当協会が観光専門家集団となるべく、独自の調査研究を発信する体制と地域に密着した総合的かつ中長期的な視点で課題解決に対応できる体制の整備を行う。
 
2.基幹産業としての観光への取り組み
 諸団体との連携・協議のもと国内旅行需要促進、働き方改革による観光需要の創造に対する調査、研究などを行うほか、地域や産業との連携をさらに深め、観光業における生産性向上の取り組みを支援する。また、地域固有の資源・文化を活かし、地域を持続的に発展させるサスティナブルツーリズムの理念のもと、地域資源を多様な視点でとらえた新たな観光魅力創造及び国内観光情報のポータルサイト「観るなび」による観光情報を提供し、観光需要の喚起を図る。そして、世界最大のトラベル・ツーリズム・トレードフェアを目指しツーリズムEXPOジャパンのさらなる充実や、アジア地域との交流を通じて双方向交流の拡大を図る。また、世界の観光機関との交流促進を行い日本のツーリズムを世界に発信していく。
 
3.観光産業の持続的成長(SDGs)に向けた課題への取り組み
 ツーリズム産業の認識度向上を目的として、小中学生を対象とした観光教育の普及啓発や、産業と地域の担い手となる人材の育成を支援する研修教材及び講師の充実を図るとともに、DMO推進に向けた研修プログラムの実施やDMO組織等への人材派遣を支援するほか、これからの観光産業を担う経営幹部の育成研修を行う。また、近年の各種災害による観光における安全・安心の確保、あるいは情報提供の重要性についての認識が広まっており、観光危機管理について研究を行うとともに、環境等に配慮した観光のあり方について、海外及び国内の先進的事例の調査を行い、各種啓蒙活動を行う。
 
4.協会職員の働きがい創出に向けた取り組み
 職員一人ひとりが目標に向かって「挑戦」でき、得意分野を活かし「働きがい」を持って活躍でき、そして持続可能な社会の実現に向け、法令・社会規範を遵守し、職場環境や職場風土の改善を進め、各種研修の実施及び様々な福利厚生制度を整備し、安心しては働くことができる職場づくりを行う。

□令和2年度事業計画の概要

■10年目のメッセージ・理念・役割・行動指針について
 「日本観光振興協会」は、令和2年(2020年)4月に日本観光協会とツーリズム産業団体連合会(TIJ)が合体して10年目を迎えました。この節目の年に、当協会は新たな理念を策定し、未来志向で新しい時代を切り拓き、観光を通じて持続可能な社会の実現を目指してまいります。
 この理念の策定にあたっては、今後の当協会を担う中堅、若手プロパー職員を中心として、これからの世界がどうなっているのか、職員一人ひとりの大切な価値観は何か、日本観光振興協会は社会にどのように貢献していきたいかなどについて考え、議論を重ねてきました。
 私たちのメッセージである「観光を通じて持続可能な社会」を実現するために、具体的にどうしていくのか、何を目指すのかを考えた結果、『光』をキーワードとする「理念」と「役割」、その実現のために必要な「行動指針」を制定いたしました。ますます進むグローバル化や事業の多様化の中で、私たちの役割を考えたとき、幅広い“光”(観光関係者)とのネットワーク構築、各地に存在する“光”(人、歴史、文化等)の価値創造、そしてそれら“光”を育むことが、理念である「観光の光で輝く持続可能な社会を実現」に到着するものと考えております。同時に、理念を実現するために提供する姿勢を示した協会役職員一人ひとりがとるべき行動を示した「行動指針」も設定しました。
 観光を取り巻く環境が劇的に変化、多様化するなかで観光の持続可能な社会を実現するためには、協会役職員全員が理念を共有し、それに基づいた行動を実践することが重要となります。日本観光振興協会は新しい理念のもとで、引き続き、国や地方自治体、観光協会、観光関連企業・団体のみならずあらゆる産業との連携を図り、オールジャパン体制のもと、観光を通じてこの危機を乗り越え、社会貢献を果たしていきたいと思います。

□10年目のメッセージ・理念・役割・行動指針について