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シンポジウム講演録

2012.05.29

第1回観光マネジメント&マーケティング研究会

2012年5月29日(火)、全日通霞が関ビル7階会議室にて、日本観光振興協会と観光地域づくりプラットフォーム推進機構の共催により、第1回観光マネジメント&マーケティング研究会が開催されました。全国各地から約40名の皆さまにお集まりいただきました。 

この日の講師は、岐阜県観光交流推進局長として現在4年目の古田菜穂子さん。20数年間、インディペンデントプロデューサーとして活躍してきた実績をもとに、「清流」をキーワードに展開する岐阜県の具体的な取り組み事例を通して、「岐阜県の観光振興計画とその推進体制」、「岐阜県の観光行政と観光連盟の役割分担」などについてお話をいただきました。

▼プログラム

■日時 平成24年5月29日(火)09:00~11:00

■場所 全日通霞ヶ関ビル7階 会議室 
東京都千代田区霞ヶ関3丁目3番地3号

■プログラム 
09:00~09:05 主催者挨拶 
清水  愼一 (立教大学観光学部特任教授/推進機構会長)
09:05~09:10 研究会の趣旨説明&講師紹介 
大社 充(NPO法人グローバルキャンパス理事長/推進機構代表理事) 
09:10~09:40 第1部『岐阜県の観光振興計画とその推進体制』 
古田 菜穂子(岐阜県観光交流推進局長) 
09:40~10:10 第2部『岐阜県の観光行政と観光連盟の役割分担』 
古田 菜穂子(岐阜県観光交流推進局長) 
10:10~10:30 第3部『岐阜県の観光関連支出の根拠と成果評価』 
古田 菜穂子(岐阜県観光交流推進局長)
10:30~11:00  質疑応答

古田菜穂子 
岐阜県観光交流推進局長。明治学院大学社会学部を卒業後、新聞記者、TVディレクター、雑誌のライター、各種広告媒体の企画制作等を経て、映画のプロデューサーや、まちづくり、モノづくりのプランニング・ディレクターとして活動。平成19年、飛騨・美濃の観光を考える委員会の委員、平成20年、岐阜の宝もの認定プロジェクトの総合ディレクターとして岐阜県の観光行政にかかわる。平成21年4月、岐阜県観光交流推進局長に就任。観光交流人口・観光消費額を拡大し、観光を地域の基幹産業とすべく、飛騨・美濃じまん運動の推進に奔走。


岐阜県の観光振興計画とその推進体制

私がこれまで取り組んできたのは、岐阜県の再ブランディングです。「観光・食・ものづくり」を三位一体で捉え、観光交流推進局を軸に各部をつないでまとめ、国内誘客と海外誘客を両輪に動かしてきました。それが、平成20年スタートの「飛騨・美濃じまん運動」で、6つのプロジェクト(下図)からなる部局横断の全庁的な事業です。6つのプロジェクトは相互に連携させ一体的に運営しています。地域資源を見つけ、創り、ブラッシュアップして新たな「じまん」に育て上げ、情報発信する。それによって岐阜県のブランディング(アイデンティティーづくり)と観光産業の基幹産業化を図り、県民が誇りの持てる岐阜県にしていくことを狙っています。 



たとえば、「岐阜の宝もの認定プロジェクト」で県内の旧来型の観光地の周辺にある地域資源を磨き上げ、点である各観光地同士を結び、さらには面にしていきます。志のある観光事業者や市町村を応援し、「まずは成功事例つくること」に注力してきました。 

「岐阜の宝もの認定プロジェクト」は平成19年、県民への公募を開始し、第1号認定したのは、「小坂の滝めぐり」(下呂市)です。その認定の一番の理由は、有名な下呂温泉から車で約40分の距離に、地元NPOが大切に守ってきた200もの滝が隠れていたことです。そこで、「小坂の滝ウエルネスツーリズム創出事業」と銘打って、自然と体と心を癒す新しい体験プログラムを開発しました。その結果、ガイド利用の観光客が増大(H20年:観光客数1000人、H22年:2500人、H23年:5000人)。「小坂の滝めぐり」という新しい名所が生まれたことで、下呂温泉の滞在泊数が増え、周辺の高山市や白川郷へ行く着地型のプログラムができました。ガイド養成には特に力を入れ、それが若者の移住にもつながるといううれしい効果も出てきました。 

下呂温泉周辺の小坂町が賑やかになることで、もともと観光事業で生きてきた下呂の人たちの心にも火がつきました。県には、そうした多様な人・関係機関を連携させ、地域の人をヤル気にさせるコーディネーター、プロデューサーの役目もあります。じっくり時間をかけてやっていく必要がありますから、この「小坂の滝めぐりのプロジェクト」の担当職員はすでに在任5年目です。 

岐阜県の観光連盟と観光行政の役割分担

われわれが取り組んだもう1つの大きなことが、行政と観光連盟との関係の見直しです。事業一覧で細かくチェックしていくと、県庁の事業と観光連盟事業を行うのそれにはかなり重なる部分があり、且つ県職員が観光連盟に多数派遣されていました。県庁と観光連盟の役割分担が必要でした。何度も観光連盟と話し合いを持ち、観光連盟を「会員自らが考え参画する、『儲けを追求する組織』」に転換を図ってもらいました。具体的には、組織を販売推進事業部門と内部管理部門の2つに整理し直し、新たに設置した販売推進事業部門を統括するポストに民間からの人材を登用してもらいました。県職員の派遣は、平成22年度から段階的に止め、平成24年度をもって全廃します。 

役割分担に基づいて、これまで県庁と観光連盟で行ってきた事業を再構築した結果、双方で約2億円であった事業費が約1億5000万円と、約5000万円の効率化を図ることができました。岐阜県の観光予算は他県と比べても潤沢にあるとはいえませんが、その分費用対効果は相当に高いと思っています。これまでの3年間は事業や体制の再構築の時期でしたが、今年からは観光事業の数値目標の具体的な根拠などの見直しが必要です。観光はトレンドを意識した事業ですから、多様な関係者・機関との連携は非常に大事です。しかし、それが本質的・有機的に機能しているか否かについても、今後課題として取り組んでいきたいと考えています。 

 

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