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2024.4.5

【D-NEXT】地域の合意形成を支援
「Destination-NEXTを活用した観光地域診断」
④分析レポート版4地域の調査結果に関するNEXT FACTOR社との意見交換及び4地域合同ウエビナーの開催報告

前半からの続き-

  (6)世界の先進事例と提案について
 NF社からは、今後各DMOが「観光の強み」や「地域の連携」を改善するために、取り組むべき課題と、それに関連した世界の先進事例が紹介されましたので、以下にてご確認ください。

① 「観光の強み」を改善するために取り組むべきことと世界の先進事例
 ●アウトドア体験、6つの忘れられた巨人~例【コペンハーゲン、デンマーク】
美術館から作品を外へ持ち出すことで、美しく見落とされがちな自然に目を向けさせることが狙い。来場者は6つの自治区を宝探ししながら、楽しめる。その結果、観光客が増加した。

6つの忘れられた巨人

 ●光を用いた異体験~例【センサリオ、カリフォルニア州、USA】
センサリオの14エーカーの及ぶ広大な土地に、58,800個のソーラーライトを設置、光の海を表現した。来場者がその光景をインスタグラムに投稿し、観光客が増加した。

光を用いた異体験

●公共交通機関アクセスの整備~例【フォートローダーデール、フロリダ州、USA】
デスティネーションへのアクセス向上のため、乗り降り自由な船上バスを整備した。また、アプリを使用することで待ち時間の把握も可能となった。

公共交通機関アクセスの整備

② 「地域連携」を改善するために取り組むべきことと世界の先進事例
 ●財源の確保、アメリカの観光改善地域(TID)~例【USA】
観光改善地域(TID)は、観光に特化した新しい資金やアセスメントを採用し、観光地として革新的な経営財源を持っており、1989年のカリフォルニアに始まり、アメリカ国内で20州に渡る200の地域に展開。

アメリカの観光改善地域

 ●人材育成~例【シンガポール】
スキルズフューチャーシンガポールとシンガポール政府観光局が共同で開発したリスキリングと生涯学習を促進するためのシンガポール労働力確保のためのプログラム。

人材育成

 ●地域連携~例【オタワ、トロント、モントリオール、カナダ】
MICE事業ではライバル関係にある3都市が、観光分野については友好関係を締結し、お互いの住民に対して、クロスプロモーションを実施した。その結果、観光客の増加につながった。

地域連携

4DMO合同セミナーでは、当該調査を実施したカナダの観光地域コンサルティング会社であるNF社のCEO、ポール・ウィメット氏からコロナ後の観光地域の現状や欧米と日本との意識やトレンドの相違について言及がありました。各DMOからD-NEXTの調査結果を受けて、地域の強みや連携についての課題感が共有されました。また、これまで375以上の世界のDMOのコンサルティングを実施した経験を活かして、ポール氏からそれらの課題に沿ったケーススタディや戦略が提案されました。最後の質疑応答では、DMOから、地域連携に関する質問がありました。

(7) 当協会からのコメント
・NF社のポール氏から日本のトレンドと海外のトレンドについてコメントがあった。2021年のFutures Study調査と比較すると、日本のトレンドは世界とそれほど大きな違いはないとのコメントがあり、「人工知能(AI)は加速度的に普及していく」といった時流に乗ったトレンドが日本、世界共に1位になっており、現状の認識に大きな違いはなかった。一方、日本特有の内容としては、「ますます、多くのデスティネーションがあらゆる旅行者に配慮したアクセシビリティの向上に力を入れている」が2位に位置づけられていたことは特筆に値する。
・各々のDMOの課題に合わせたケーススタディが示されて、各DMOは課題解決の大きなヒントを得られたと思われる。人材育成といったDMO共通の課題もあれば、ライバル同士の地域でも、広く観光地域の魅力を旅行者に認知してもらうために、地域連携が重要との話も印象深かった。

(8)4地域合同ウエビナー会場の様子
4地域合同ウエビナー会場の様子

4地域合同ウエビナー会場の様子