公益社団法人 日本観光振興協会

DMOなび - 観光地域づくりの新しい潮流に学ぶ -

トップページ記事一覧>記事

 

記事

2017.08.15

海外DMO事例を紹介Vol.3
ドイツにおける人材育成の取組
※国土交通省観光庁『平成28年度DMOを担う人材育成プログラム策定・研修事業』報告書より抜粋


ドイツのDSFTの事例
 ①セミナー運営概要
 A DSFTの組織概要
  ドイツ連邦政府観光人材養成組織(DSFT)は1964年ベルリンにて設立され、ドイツの観光業
 において中心的な役割を担う研修機関である。
  観光地としてのドイツを強化することを目的として、企業や地域の枠組みを超えた、システ
 ム化された研修プログラムを提供している。
  事業は大きく3つに分類され、バリアフリーのための研修と認定を行う「すべての人に旅行
 を」プロジェクト、サービスの質の向上を目指すための研修及び認定を行う「サービスクオリ
 ティ・ドイツ」プロジェクト、その他観光関連セミナーを行う「講座」と2つのプロジェクト
 部門と1つの研修部門で構成されている。

DSFTの活動内容
DSFTの活動内容
 B セミナー運営の詳細
  2013年までは、100%国の補助金で運営されていたが、2014年からは国の補助金がなくな
 り、独自予算のみで運営されている。DSFTに補助されていた国の補助金は各地域の観光協
 会のセミナー関連事業費として、配分されるようになっている。
  また、ドイツでは政府と州が一緒になって観光の進むべき方向性を決定し、それに従って、
 開催してほしいセミナーの名称やテーマがDSFTに降りてくる。
 C セミナーの理念及び目的
  観光関連の中小企業や組織の経営者、オーナー、社員を対象に、企業や地域の枠組みを超え
 た内容のセミナーを提供し、相互の競争力を高め、ドイツの観光振興に役立てることである。

 ②セミナーの実施状況について
 A セミナーの実施状況及び対象
  a.2014年まで(国の助成による)
   ・年間約228講座を行い、受講者数は1,700~2,000人程度
   ・対象:すべての業種及び従業員
  b.2015年から(国の助成修了後)
   ・年間35講座程度行い、受講者は200人程度
   ・対象:管理職
   国の助成により運営されていた時はすべての従業員を対象にセミナーを行っていたが、国の
  予算が各地域のDMOの研修に配分され、国の助成がない現在はDSFTとして運営方針を転
  換し、対象を関連企業の管理職にしている。そのため、セミナーの内容をより高度なものに変
  え、セミナーへの参加単価も高く設定して、独自予算の確保を図っている。


 ③セミナーの詳細
 A セミナーの構成及び内容
  a.「すべての人に旅行を」プロジェクト
   本プロジェクトはドイツ連邦政府のアクションプランの一つであるが、DSFTとして
  2012年から連邦経済技術省と連携し実行しており、バリアフリーの提供とサービスの開発、
  マーケティングを遂行しており、バリアフリー関連の研修を提供し、認定制度を設けている。
  現在、ドイツ全体で1,500企業が認定を受けている。
   また、本プロジェクトは「認証マーク」、「クオリティ基準」、「(オンライン)研修」、
  「データバンクとインターネットプラットフォーム」の4つの項目で構成されている。
   本プロジェクトに関係するセミナーはすべてオンライン講座となっている。

  b.「サービスクオリティ・ドイツ」プロジェクト
   サービスクオリティ・ドイツは観光関連中小企業向けに3段階のサービス改
   善システムを提供しており、DSFTはベルリンとハンブルクにおけるサー
   ビスクオリティ・ドイツを担当している。
   評価基準のもと、条件を満たした企業には認定とマークが付与され利用でき
   るようになる。現在、ドイツ全体で3,300企業が認定を受けている。

サービスクオリティ・ドイツ認定の3段階及び内容
  DSFTは各段階毎のセミナーを用意しており、認定を希望する企業の支援を行っている。

  c.講座
   各講座は観光業における専門スタッフ・管理職向けであり、実務で役立つ知識を伝えるこ
   とや集中的な意見交換を行う機会を提供している。また、インハウス講座も運営しており、
   受講者が希望する内容や場所に合った講師の派遣も行っている。

  ○2016年のセミナー一覧

  セミナーの中で最も人気のあるセミナーは「ドイツ観光における基礎の集中セミナー」であ
  り、6日間に渡り行われる。(参加費用は999ユーロ)
ドイツ観光における基礎の集中セミナーの内容

 ④考察
 A 徹底したセミナーの質の管理
  a.受講者に対しアンケートを行い、その結果を指標化し、常にセミナーの評価と改善を
   行っていることが大変参考になった。
講座毎の評価例

  注)評価点1が最も高い得点
   ○アンケート項目
    ・セミナーの全体に対する満足度
    ・セミナーのトピックスに対する満足度
    ・セミナーの理論的理解に対する満足度
    ・セミナーの有効性に対する満足度 など

  ○受講者向けアンケート

  b.セミナーの開催に当たっては、人件費、会場費、運営費等を考慮し、最低8人の受講
   者が必要だが、セミナーの質を確保するため、最大12名の受講者しか入れないなど、受
   講者の数を増やし収益を高めるよりは、セミナーの質を高め、1人当たりの単価を高め
   ていることが大変参考になった。

 B 資格制度の導入
  a.連邦政府の助成のもと、各種認定制度を設けている関連団体と連携し、認定を受ける
   ためのセミナーの提供及び支援を行い、公共的な役割を果たしつつ、長期的な自主収益
   を確保するための取組は大変参考になった。
  b.「すべての人に旅行を」という障害者向けのドイツの取組そのものにとても感心した
   が、DSFTとして、障害者向けのセミナーはすべてオンライン対応していることも大
   変参考になった。

トップへ