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2016.03.09

【第2回】日本版DMOの登録制度について ~2月に法人24団体が第一弾登録~


●2020年までに100の日本版DMO設立を目指す

従来の観光の枠組みを超え、多彩なプレイヤーの連携による地域を挙げた魅力づくりをめざす取り組みのなかで、 中心的役割を果たす新しい組織、日本版DMO(Destination Management / Marketing Organization)の形成確立を支援するため、 観光庁は2015年11月に「日本版DMO候補法人」の登録制度を創設しました。今回は、この制度について詳しくご紹介します。
(観光庁「日本版DMO」http://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000048.html


これまでの観光は、旅行会社が地域の素材を見出し、旅行商品を作って観光客を地域に送客する「発地主導型」が主流でした。 しかし旅行者のニーズが多様化した現在、観光地のあり方も従来から大きな変化が求められています。 (https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/h27-12-24-siryou2.pdf P22参照)


こうした制度が生まれた背景には、「地方に新たな仕事と人の流れをつくりたい」という日本政府の意向が 強く反映されていると言えます。観光庁をはじめとする関係省庁は、登録された法人やその法人と連携して地域で 事業を行う関係団体に対して、支援を行っていくことになります。


●日本版DMOは3つの種類がある

日本版DMOが対象とする地域の規模は、大小さまざまとなることが予想されます。自治体の枠を超え、複数の市町村が 広域連携する組織もあれば、小さな町単体が対象となる場合もあるでしょう。このため、登録制度においては以下の 3つの種類が用意されています。

○広域連携DMO
複数の都道府県にまたがる地方ブロックレベルの区域を一体とした観光地域を対象
○地域連携DMO
複数の地方公共団体にまたがる区域を一体とした観光地域を対象
○地域DMO
原則として、基礎自治体である単独市町村の区域を一体とした観光地域を対象

※広域連携DMOと地域連携DMOについては、連携する地域間でコンセプトなどが共通していれ
 ば、必ずしも地域が隣接している必要はありません。
※基本自治体が広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOと重複して登録することも可能です。


●地方公共団体と連名で提出、設立予定の法人でも申請可能

広域連携、地域連携、地域いずれについても、日本版DMOとして登録するには、機能に関する三つの要件と 体制に関する二つの要件を備える必要があります。

観光庁のホームページには、要件を満たしているとみなす具体的な事項が要件別に列挙されています (http://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000049.html)が、ここでは以下のようにまとめて整理してみました。


機能に関する三つの要件とは、
1 観光地域づくりを行うことについての多様な関係者の合意形成
2 客観的データの継続的な収集・分析、データに基づいた戦略策定・評価・改善機能
3 多様な関係者との戦略の整合性に関する調整・仕組みづくり

 体制に関する二つの要件とは、
4 日本版DMOの透明性、健全性、継続性を維持するための組織づくりと人材確保
5 日本版DMOの自律性、継続性を担保するための安定した運営資金の確保

特に4の組織づくりと人材の確保は、地域にとって重要な課題であり、以下の[1]~[3]のすべてに該当するか、該当予定であることが必要ですが、 意欲があれば実現できる要件でしょう。

[1]法人格を取得している(営利、非営利を問わない)
[2]意思決定の仕組みが構築されている(日本版DMOの業績について対外的に最終的な責任を負う者が明確化されている)
[3]データ収集・分析などの専門人材(CMO:チーフ・マーケティング・オフィサーなど)が専従で最低一名存在している、または確保予定であること

※[2]と[3]の具体的な内容については、別の回で改めて詳しくご説明します。

 日本版DMOの登録を希望する法人は、日本版DMO形成・確立計画を作成し、地方公共団体と連名で提出する必要があります。
 ちなみに登録対象となる法人については、登録申請の時点で実際に存在・活動している必要はなく、構想段階での登録申請が可能です。


●第1回目に登録された日本版DMOはどんな法人団体?

2月26日、観光庁は第1回目の「日本版DMO候補法人」の登録を行いました。登録制度がスタートしてから、今回が初めての登録となります。 登録されたのは24団体で、内訳は広域連携DMOが 2団体、地域連携DMO と地域DMOがそれぞれ 11団体となっています。  登録された団体を種類別に見ると、一般社団法人が17件、公益社団法人が2件、一般財団法人が1件、株式会社が3件、未定が1件と なります。このうち、今後設立予定とされるのは6件です。

第一弾登録の24候補法人リスト
http://www.mlit.go.jp/common/001120724.pdf

登録された24候補法人が提出した日本版DMO形成・確立計画リスト
http://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000055.html

 どのような団体が登録したのかを知ることは、現在登録を検討している地域の方々にとって参考になります。 広域連携、地域連携、地域それぞれの代表例の登録概要を見てみましょう。

広域連携DMO)

【法人名】一般社団法人せとうち観光推進機構(任意団体・瀬戸内ブランド推進連合を発展改組)
【対象地域】兵庫県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県の7県
【設立予定時期】平成28年4月
【職員数】20名(予定)
このDMOの母体となる瀬戸内ブランド推進連合は平成 25 年4月に設立され、瀬戸内ブランドの確立を通じた交流人口の拡大による地域経済の活性化に 取り組んでおり、これまでの取り組みを一層強化していくため、このたび一般社団法人せとうち観光推進機構に発展改組します。 金融機関及び300を超えるサポーター(民間事業者)との連携が特徴的で、地域の金融機関と日本政策投資銀行が主体となり設立する事業化支援組織(仮称)とともに、 クルーズやサイクリング、アートといったテーマごとにブランドコンセプトを共有しながら、観光関連サービスや地域産品など、民間事業者のプロダクト開発を支援します。

一般社団法人せとうち観光推進機構の日本版DMO形成・確立計画シート
http://www.mlit.go.jp/common/001120357.pdf

地域連携DMO)

【法人名】一般社団法人雪国観光圏
【対象地域】新潟県湯沢町、南魚沼市、十日町市、津南町、群馬県みなかみ町、長野県栄村の
      2市3町1村
【設立時期】平成25年4月1日
【職員数】4名
このDMOは観光圏整備法による認定を受けてから7年の間、活動を継続しており、観光事業者や地域住民とのネットワークも既に構築されています。 全国に先駆けて宿泊施設や食の品質認証事業に取り組んでいることが特徴で、今後はそうした取り組みの強化とともに、この地域の魅力の源である 「雪国文化」を体感できる滞在プログラムや地域を象徴する稲作や棚田の景観維持など農業と観光の融合、取組に実際に関わり地域の魅力を支える人材の育成を目指しています。

一般社団法人雪国観光圏の日本版DMO形成・確立計画シート
http://www.mlit.go.jp/common/001120362.pdf

地域DMO)

【法人名】株式会社昼神温泉エリアサポート(平成28年7月に株式会社阿智村観光局に改名予定)
【対象地域】長野県下伊那郡阿智村
【設立時期】平成18年12月1日
【職員数】7名
このDMOは昼神温泉を中心とする観光振興から、阿智村全体の観光振興戦略に取り組む体制を整えつつあります。 既に行っている「日本一の星空」のブランディング強化とともに、さらに多様な関係者を巻き込み、着地型商品「日本一の星空ナイトツアー」に続く 新たな滞在プログラムの開発や周遊バスの企画、移住者や定住者の増加も視野に入れた活動を目指しています。

株式会社昼神温泉エリアサポートの日本版DMO形成・確立計画シート
http://www.mlit.go.jp/common/001120379.pdf

 これら3つの事例に共通しているのは、これまでの取り組みをより強化拡張することで地域のブランド価値の向上を目指しており、 そのために従来組織に不足していたDMOの機能を導入した点と言えるのではないでしょうか。

●次回の申請〆切は3月10日

 次回の日本版DMO候補法人の登録申請〆切は3月10日となっており、公表時期は4月を予定しています。登録申請書は、以下のホームページからダウンロードできます。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000049.html

 第一弾に続いて次回も「候補法人」の登録となり、本登録ではありません。観光庁によると本登録に移行するタイミングは検討中とのことです。また、候補法人登録の審査は 申請書のみで判断され、書類に不備があれば問い合わせしますが、基本的に申請書のみで判断されるので、取り組みたい事業などを申請書にできるだけ詳細かつ具体的に記載することをおすすめします。
 日本版DMO候補法人の登録申請に関する問い合わせは、観光庁の観光地域振興課で受け付けているほか、観光地域づくりの取り組みについて気軽に相談できる場として 各エリアの運輸局観光部観光地域振興課に「観光地域づくり相談窓口」 が設けられており、個別の問い合わせに応じています。ぜひ、積極的にご活用ください。

各エリアの相談窓口連絡先